クルドの政治家アブド・サラム・モハメド・アリ氏も最近そのような発言を行った。アリ氏は、モスクワを訪問した際に、トルコのエルドアン大統領が、「クルド恐怖症を患っている」と述べた。アリ氏の主張の正当性はいかほどのものか?この問いに対する答えを、統計とエルドアン大統領自身の発言から探してみよう。
トルコとクルドの軍事紛争が始まったのは1984年。同紛争では合わせて4万人以上が犠牲となった。なおエルドアン大統領の声明によると、トルコとトルコ国外でクルディスタン労働者党の戦闘員3100人が殺害された。
トルコ参謀本部によると、2月7日までにジズレ(シュルナク県)とスール(ディヤルバクル県)で実施された作戦で、クルディスタン労働者党のメンバー733人が殺害された。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの情報によると、作戦では少なくとも一般市民150人も殺害され、さらに20万人が命を奪われる脅威にさらされている。
最も世間を騒がせた殺害事件が起こったのは、2015年11月。街頭記者会見の最中に、エルドアン大統領に対する否定的な態度で知られるクルド人弁護士のタヒル・エリチ氏が、銃撃を受けて死亡した。
現在クルド人活動家数千人が、トルコの刑務所の中で苦しんでいる。なおエルドアン大統領の発言の中で有名なものの一つに、トルコは「最後まで断固とした戦いを続ける」というものがある。エルドアン大統領は、壕を掘ってクルド人を埋め、「彼らを、彼らの家で殲滅する」と約束した。
簡単な歴史
民族クルド人はトルコの人口の18パーセントを占めている。
トルコでは長い間「クルド人」という言葉が禁止されており、1991年までクルド人は「山岳トルコ人」と呼ばれていた。
1984年、クルディスタン労働者党は、クルディスタン独立のための武力闘争の開始を発表した。
1991年、クルド人たちに自分たちの言葉で話すことが許可された。
2004年、クルド語報道を行う初のテレビチャンネルが開局された。
2013年、クルド人反政府勢力に対するトルコの軍事行動に対するモラトリアムが導入された。
2015年、トルコは同モラトリアムに違反した。