ロシア人学者 宇宙ごみ対策に核兵器を使用することに反対

© NASA . Reid Wisemanロシア人学者 宇宙ごみ対策に核兵器を使用することに反対
ロシア人学者 宇宙ごみ対策に核兵器を使用することに反対 - Sputnik 日本
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ロシア天文学研究所のボリス・シュスロフ所長は、核兵器を宇宙ごみ対策に用いることは無意味であるとの考えを表した。所長は、「私たちは地球軌道上にこれほどたくさんの人工物を投入した。10年から20年後、私たちは宇宙へのアクセスを奪われる可能性がある」と述べ、次のように語っている-

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「地球周辺の空間は(廃棄物などで)すでにとても汚れており、これは深刻な脅威となっています。私たちは今後、宇宙へ移動することができなくなるかもしれません。宇宙ゴミの破片は、宇宙空間を時速数千キロで飛んでおり、恐ろしい破壊力を持っています。このような速度では、一粒の砂も弾丸のような力を持ちます。専門家たちは現在、宇宙ごみに対処するための様々な方法を検討しており、その中には核兵器の使用も含まれています。しかしこれは無意味であり、全く必要ありません。これは砲でスズメを撃つのと同じです。そのため学者たちは、網で捕まえることから、レーザーの使用まで、新たな方法を積極的に開発しています。」

ロシアの学者たちの情報によると、地球軌道上には大きさが1ミリメートル以上の人工物がおよそ7億5000万個存在する可能性がある。ごみとごみが衝突して新たなごみが生まれ、それがまた衝突することでごみが増え続けることで、状況はさらに悪化している。これらの分裂は、稼働中の人工衛星と国際宇宙ステーション(ISS)にとって現実的な脅威となっている。ISSは宇宙ごみとの衝突を避けるために、これまでに何度もISSの軌道修正を余儀なくされた。人工的に発生した物体の情報解析・収集処理に関する学術プログラムの責任者ウラジーミル・アガポフ氏は、宇宙ごみについて、次のように語っている-

「人工衛星を失うことは、多額の損失であり、新しい人工衛星を製造して打ち上げる資金が必要になるということです。またこれは長い時間も必要とします。そしてその間、衛星が商用であるならば利益を失い、時には衛星自体が運用停止となることもあります。エンジニア的な解決策がたくさん開発されています。物体を物理的に捕まえたり、特別な『タグボート』を使って物体を軌道から運び出したり、または電磁ロープシステムというものもあります。小さなごみを収集するためにネットワークを展開するという提案もなされています。しかしこれらは全てまだプロジェクトにすぎません。これらのプロジェクトがどのくらい早く実現されるかは、複数のファクターに左右されます。一つ目は、エンジニア的なファクターで、複雑なシステムを構築する必要があります。2つ目のファクターは、安全性です。何らかの方法でごみを処理する必要がありますが、稼働中の衛星に損害を与えずに行わなければなりません。そして3つ目は、法的なファクターです。宇宙空間の人工物の各要素は、どこかの国に属しています。これは、それを処分する許可を得る必要があるということです。」

宇宙ごみの増加には、宇宙計画を実施しているほぼ全ての国が関係している。各国はこの問題の重要性を認識し、国際機関間スペースデブリ調整委員会を設置した。現在、宇宙大国に運用を終了した宇宙機器を地球軌道から出すことを義務付ける規則がある。しかし、これは理想的な案ではない。人工衛星を軌道から出すためには、高価な燃料がさらにたくさん必要とされるからだ。その他にも宇宙機器は、運用期間の終了が近づくと制御不能となることもある。学者たちは、地球周辺の宇宙空間からごみを取り除く問題を解決する鍵は、新しいエネルギーの開発、材料の新たな特性やレーザー技術の研究にあるかもしれないと考えている。

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