韓国外務省も再び、日本軍が東アジア、東南アジア諸国の女性たちを慰安婦に用いていたことは史実であると強調。日本に対し、慰安婦問題について昨年末に達成した合意の精神を損ねるような発言は控えるよう呼びかけた。
朝鮮史に詳しいロシア人歴史家のキム・ヨンウン氏について、二国の外務省の意見交換は日本側の尽力も歴史認識についての意見の食い違いをなだめることには成功しなかったとの見方を示し、次のように語っている。
「昨年末、日韓はこの問題を何とか解決することが出来たかに見えた。日本側は、遺憾に思うという内容の声明を表し、こうした女性らに賠償金を支払うための特別の政府基金に拠出までしている。だが日本政府はその代わりとして韓国側に対し、日韓の歴史の中のこの恥ずべき1ページについてこれ以上繰り返さないよう、また日本に圧力をかけるためにこれを用いないよう求めた。これに加えて日本側はソウルの日本大使館前に建てられた乙女の慰安婦記念碑の撤去を求めていた。」
これより前の日本政府は、慰安婦として働くか否かは女性に選択権があったと常に主張してきた。ところがキム・ヨンウン氏はこれについて、日本政府は未だに慰安婦の仕事が自発的なものであったことを示す書類証拠を公開していないと指摘し、さらに次のように語っている。
「日本は証拠資料はないと断言している。そうした発言の一端は正しい。なぜなら韓国には確かにそうしたものはないからだ。だがそれがないのはある、動かし難い理由からだ。それは女性らが慰安婦として働かされたのは韓国領内ではなく、中国その他の日本が侵略し、勝ち取った国におかれていたからなのだ。このため慰安婦に関する資料は中国にも日本にもある。だが日本側は明確な理由でこれを隠している。一方の中国では2年ほど前から公表しはじめた。そしてそれを見ると資料が上海、長春にあった日本の警察署の古文書からのものであることは疑いようもない。これらの資料を見ると、日本は女性らを騙して、慰安所に連行したことがわかる。」
慰安婦が強制連行によるものであることを示す、中国が公開した証拠を日本は確かに公式的には認めなかった。だがこれは論理的ではない。仮に日本がこれまでと同様、女性たちは日本帝国軍の慰安所に自発的にやってきたと考えているのであれば、なにに対して遺憾の意を表し、なぜ賠償金の支払に応じることがあったのであろうか。