「すでに昨年の時点で安倍首相は訪米時にオバマ氏に対して、プーチン氏との対話継続の意思を表しており、オバマ氏はこれに否定的な態度を示したことはみんなが見ていた。このため安倍氏はG7で他の大国の支持を取り付けようとして、これが功を奏した。メルケル氏もオランド氏も領土問題などでロシアとの対話を続けたいという安倍氏の立場に理解を示したからだ。
安倍氏はこうした支持を得て、自分がまずロシアを非公式に訪問し、その後、プーチン大統領の訪日を実現させるための準備を行なうチームを結成した。米国はこれを見て、安倍氏のプランを否定的に受け止めていることを再確認している。この声明にもかかわらず、菅官房長官は昨日、日本は安倍氏の訪問を準備すると語った。だがその際に長官は、日本は米国と行動を調整してゆき、その立場がG7の立場と矛盾することはないと強調している。これは非常にバランスの取れた立場だ。
このため私は、安倍氏のロシア訪問は実現すると思う。というのも問題は話し合いの中身のほうだからだ。ひょっとすると今まで後回しにされてきた宇宙や原子力分野における協力や、ビザ制度の合意についての一連の話し合いが再開されるかもしれない。そこまでくれば、プーチン大統領の訪日がどう準備されるかは見通しがつくだろう。
先日、ドヴォルコヴィチ副首相は、プーチン大統領の訪日のためには、なによりもまず経済面でのより本質的な合意が必要という声明を表している。それにドヴォルコヴィチ副首相が、今まで日本企業には制限されてきたロシアの一連の油田ガス田の支配株獲得を解除すると言ったのは、おそらく偶然ではないはずだ。日本はこれをずいぶん前から要請してきたが、ロシアはこれを受け入れず、中国だけに例外を与えていた。
また日本のほうは、ロシアのために円の借款を用いる可能性を準備している。このようにして今、両国関係にはなかなか良い発展の動きが見られている。4月にはラヴロフ外相が日本に行く。そのときに安倍氏が5月6日にソチに来る件について具体的な話がでるだろう。」
「スプートニク」:平和条約締結交渉の再開の見通しは?
「平和条約では進展はない。双方ともこれまでの立場を堅持している。ロシア側の理解は、すでにボールは日本側に投げてあるから、なんらかの妥協を提案しなければならないのは日本側のほうだというものだ。」