ロシアへのバッシングで際立っているのは英国のマスコミ。英国で反ロシアキャンペーンを担う、あるTV番組はシリアで撮影した廃墟の映像を映し出し、この街は数ヶ月に渡るロシアの空爆で破壊されたとナレーションした。大嘘なのは、この街はシリアのほかの諸都市と同様、シリア政府軍と、それこそ歯に至るまで完全武装したテロリストたちが戦う前に既に破壊されていたということだ。こういうテロリストたちを西側は好んで「穏健的反体制派」と呼ぶ。テロリストらは何ヶ月にも渡ってこの街を掌握したため、その無法状態の間に街は完全に廃墟と化してしまった。しかもこうなってしまったのはシリアにロシアの航空隊が来るずいぶん前のことだった。こういったわけで町が破壊されたのも、一般住民におびただしい数の犠牲者が出たのも、欧州に移民が押し寄せたのも原因はロシアの「空飛ぶ殺人鬼」ではなく、西側とトルコがテロリストを支援したからだ。
こんなアホらしい憶測とかかずらうのは無意味だ。ここでは、シリア駐留ロシア航空宇宙隊の撤退理由をロシアの政治家、専門家、ジャーナリストらがどう説明したかについてだけ、記したい。こうした人々は昨年末、ロシア航空隊のシリア駐留の期間についての問いにプーチン大統領が何と答えたていたかを思い起こさせている。プーチン大統領は、作戦はシリア情勢が安定化し、互いに対立する陣営が対話を開始した時点で中止されると語っていた。そして、それが起きた。ロシア航空宇宙隊とシリア政府軍はテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」に大打撃を与えた。おびただしい数のテロリストが殲滅された。彼らが使っていた原油採掘施設も破壊された。莫大な数の軍事機器も石油トレーラーも破壊された。テロリストらに掌握されていたシリア領内の地区もその大半が解放された。
米国が今に至るまで世界に積極的に輸出しているのは安定でも民主主義でも自由でもない。仮に何者かがロシアの撤退を敗北だと決めつけ、再びシリア情勢をヒートさせようとするならば、ロシアは即刻現場に戻ることができる。なぜなら現地に基地は残してあるからだ。