NPO法人・原子力資料情報室の伴英幸(ばん・ひでゆき)共同代表は、今回、大津地裁で住民側の主張が認められたのは、政府が原発の安全性を認める・認めないに関係なく、法廷できっちりと争われたからだとの見解を示した。
伴氏「これは仮処分ですので、少なくとも裁判に負けない限り運転差し止めは効力を発揮し続けるので、関西電力は原発を止めておかないといけません。全国の全ての原発が再び停止という状態に戻っており、政府の主導するエネルギー基本計画の目標達成は難しいでしょう。大津地裁のケースでは、裁判所は電力会社側と住民側、双方から意見を聴取し、法廷に出された資料に基づいて判断しています。このような姿勢を裁判所が取り続けるならば、今後の仮処分申請では住民側が勝つ事例が増えていくと思います。これまで住民側の言い分が認められなかったケースでは、『専門家によって決められた安全基準に合格しているのだから、稼動させてもよい』(行政裁量権)という裁判所の判断があったため、負けていたのです。」
また伴氏は、法廷闘争以外の意思表示の手段として、原発をもつ会社から電力を買うことをやめる、不買運動を挙げている。
伴氏「もうひとつ、住民が関心をもって取り組もうとしていることがあります。今年の4月から電力自由化が始まります。これにより一般消費者がどの電力会社からでも、電力購入の契約ができるようになります。既に、東京電力や関西電力といった、原発をもっている電力会社の電気を買わないようにする不買運動が始まっています。この運動が功を奏していけば、原子力産業も衰退し、脱原発への転換がいっそう早まるだろうと思います。」
関西電力の代替として、例えば大阪ガスは既に、先月末の段階で6万件を超える契約切り替えの申し込みを受けている。大阪ガスは4月から、家庭用小売電力事業に参入する。大阪ガスで電力とガスをセットにして契約すると割引が受けられるプランなどもあり、価格面でもメリットがある。