日本はウクライナにとっては国際ドナー国のひとつであり、すでに数度の借款、金融支援を行ってきた。このため専門家らは、ポロシェンコが日本にウクライナ経済への投資を要請する可能性を排除していない。また安倍首相に対し、5月に伊勢志摩で実施されるG7サミットのテーマにウクライナ問題を含めるべきだと説得するのではないかとも囁かれている。ロシアの高等経済学院の専門家、アンドレイ・フェシュン氏は、ポロシェンコ大統領が日本からウクライナのために多くの利益を引き出すことはまずありえないものの、それなりの役割は果たすだろうとして、次のような見解を表している。
「ウクライナはまず日本に資金援助を頼むだろう。それから再度、日本のクリル諸島返還要求に対する絶対的な支援を強調するに違いない。クリミアをめぐる状況ではこのテーマはウクライナにとって非常に重要だ。こうすることでポロシェンコ大統領は、クリミア問題での日本からの支持を取り付けることができると期待している。
ポロシェンコ大統領にとってグローバルな課題はウクライナ問題をG7サミットの場に持ち出すことであるのは間違いない。クリル諸島以外の問題では多くは引き出せないだろうと思う。金は約束してもらえるだろうが、大金は当てに出来ない。これは何らかのプロジェクトに対して出される借款だからだ。ウクライナ問題がサミットの公式的な議事日程に含まれることはまずないだろう。だが委員会、部会レベルのローカルな討論テーマになることはありえるかもしれない。ウクライナは日本にとっては経済的にも政治の上でも全く関心の対象ではない。だがポロシェンコ大統領を招きいれることで安倍氏は米国の立場を軟化させようとしているとも考えられる。
ホワイトハウスは安倍首相が5月のG7サミット前にロシアを訪問しようとしていることに対し、再三にわたって不満を表してきたからだ。日本側はロシアを抜きに国際問題を解決することは不可能であるとして、まさにサミットの前にロシア訪問を行なう必要性があると主張している。プロシェンコ大統領の訪日で安倍氏は米国の激しい怒りを和らげ、自らの政治的柔軟性をそれとなくアピールしようとしているのかもしれない。ほらね。私はやっぱりロシアに行きますけど、その代わりウクライナ大統領を招きましたよ、ということなのではないだろうか。」
一連の政治学者らは、ウクライナ危機に対する国際社会の関心は他の諸問題を背景に最近は薄れてきていると指摘している。欧州はテロの波をかぶっており、難民をどうするかという痛い問題も解決されていない。日本だって、ウクライナより北朝鮮の核プログラムやミサイル発射のほうがよっぽど心配なのだ。