オバマ氏が広島に行ったとしても、米国は日本に攻撃国としての過去を忘れさせない

© REUTERS / Toru Hanai オバマ氏が広島に行ったとしても、米国は日本に攻撃国としての過去を忘れさせない
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オバマ米大統領は5月、日本でのG7サミットに参加する際に広島を視察する可能性がある。1945年に米国が原子爆弾を投下した広島への大統領の視察問題をホワイトハウスは目下検討中だが、最終的に広島訪問、訪問の形態、期限を決めるのはオバマ氏自身だ。

今まで、広島を訪問した米大統領はひとりもいない。このため懐疑派はオバマ氏は過密スケジュールを理由に広島視察を行なわないという方に傾いている。米国では未だに、広島長崎の犠牲者に悲しみを表すのは合目的的ではないとされている。それは原爆投下が、米軍人の犠牲者をこれ以上出さず、日本の降伏を早めるという軍事上の必然性から行なわれたとされているからだ。

オバマ大統領 5月に広島訪問の可能性 - Sputnik 日本
オバマ大統領 5月に広島訪問の可能性
ロシア人歴史家らはこれに対して別の視点を持っている。広島長崎に原爆が投下されるまでにはソ連はすでに日本に宣戦布告を行なっており、これが関東軍の大破と日本の降伏をすでに近いものにさせていた。米国は日本の諸都市に原爆を落とすことで、自国はソ連に対抗する破壊力の大きな兵器を持っているところを見せ付けたかったのだ。ロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長は、原爆の威力をこれだけ惨いやり方で見せ付けることに米国人は何の困惑も感じていないとして、次のように語っている。

「米国にしてみれば、日本はあの戦争では攻撃していた側であり、最初に真珠湾を奇襲して米国を襲った。この事件はルーズベルト大統領の発言では米国が辱めを受けた日となった。広島長崎の原爆投下に対する米国の原則的な立場はここを起点にしている。だから米国は懺悔もせず、これをこの先も行なっていく構えなのだ。米国はもし自分たちが弱みを見せ、広島長崎を見て欲しいという日本政権の誘いに乗ったら、この先これを日本は米国が罪を認め、部分的に懺悔したととらえるはずだと信じきっている。そうなれば、これは日本人の意識に犠牲の役割だけを植えつけることになるだろうと。だが、日本だってアジアの諸民族に多大な苦しみを与えており、未だにアジア太平洋地域では攻撃国として記憶されているのだが。」

米国は今年、広島でG7サミットを行なうという日本政府の構想にはっきりとノーを表した。それでもこれだけデリケートな問題で自国の最重要連合国を完全に無視することは米国には出来ない。なぜならG7外相サミットはやはり広島での開催が決まっており、そこにはケリー長官も行くからだ。キスタノフ氏は、にもかかわらず日本が今一番重きをおいているのはオバマ氏の広島訪問だと指摘している。

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「オバマ氏はノーベル平和賞を受賞しており、米国はこの人物を平和と核軍縮を目指す闘士として推し進めている。このためオバマ氏の広島訪問はロジックにかなっているはずだ。もしオバマ氏は訪問を行えば、安倍氏は内政的にはかなりの点数を稼ぐことができる。安倍氏は歴史に名を残すための3つの路線を思い描いている。1つは平和憲法の見直しを勝ち取ること。もうひとつは日本人拉致者の問題を解決すること。最後は南クリル問題を解決することだ。だがそのどれとして大きな進展は見せていない。それでもオバマ氏の広島訪問が実現すれば、安倍氏は歴史に名を残すことになるはずだ。」

だがもしこれが実現したとしても、公式的なレベルで広島長崎への原爆投下に対して「米国が懺悔」するというテーマを持ち出す人は誰もいないはずだ。米国は「ビッグ・ガイ」としての自国のイメージを壊すことは望まない。それに日本の与党も主たる連合国を怒らすことはしたくないのだ。

 

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