モスクワ国立国際関係大学国際研究所主任研究員アンドレイ・イワノフ氏の私見-
部分的には、もちろん、アーネスト報道官は正しい。もし日本と韓国、また日本あるいは韓国が独自で核兵器を製造することを決めた場合、なお両国は科学的な面でも技術的な面でもずいぶん前からその用意があるが、これは東アジアの核軍拡競争を煽る。中国人は自国の核装備を急速に増やしている。台湾の人々は、独自の核爆弾を保有しようとしている。対北朝鮮制裁の発動で最近飢餓に向けて準備するよう呼びかけられたばかりの北朝鮮人でさえも、ベルトを少しきつく締めて、更なる熱意を持って、核の盾と剣の鍛造に取り組むだろう。そしてこれに対して彼らを批判するのはすでに非論理的かつ不公平となる。
もちろん、核兵器は危険なものだ。核保有国が増える場合は特に危険だ。そして核戦争が勃発するリスクを高めるこのプロセスに代わるのが、もし完全な核軍備撤廃とまではいかないならば、部分的な核軍縮となるだろう。米ワシントンの核安全保障サミットで米国が呼びかけるのは、まさにこれだ。
なおロシアを代表して同サミットに参加するのは大統領でも首相でもなく大使だが、ロシアはこのような呼びかけを無視している。その理由はロシアの攻撃性に起因しているわけではない。ロシアは先に米国と締結した核兵器の制限に関する条約を履行している。しかし自国の核軍備をさらに急進的に縮小したり、さらには核兵器を完全に放棄することは、ロシアにはできない。ロシアは単に、通常兵器で自国の安全を保障できる状態にはないからだ。ロシアは通常兵器で米国一国をとっても数倍劣っており、ロシアの西の国境に本格的に接近している米国とNATOの軍事ブロック、あるいは米国とそのアジアの同盟国である日本と韓国にいたっては言うまでもない。
その他に、米国が極超音速機の開発に積極的に取り組んでいるのも有名だ。この極超音速機はロシアには不利な方向で、さらにパワーバランスを変えるだろう。そのためロシアも極超音速分野での軍事開発を行わざるを得なくなっている。ロシアは自国が安全だとは感じていないのだ。その理由の一つは、米国が同国の民主主義の基準に合致せず、防衛手段を持たない国々に対してどのような行動を取っているのかを目にしているからだ。なおユーゴスラビア、イラクそしてリビアと悲しい運命を共有するかもしれないという懸念が、北朝鮮に国際協定違反や核兵器の製造を余儀なくさせている。
そのため、地球上の生命にとっての主要な脅威は核兵器ではなく、何らかの理由で気に入らない国を米国が空爆するという、割と最近生まれた習慣だ。その原因は民主主義の不足ではなく、原油の存在、あるいは、あまりにも独立した外交政策であることが多い。それゆえ、核兵器の完全廃棄あるいは部分的な核軍縮に関する無意味な呼びかけではなく、それがたとえ最も強い国であったとしても、いかなる国も、自国を義務的模倣の唯一の見本であり、何かについて同意できない国を国連の承認なしに空爆する権利を有する唯一の国だとみなすことはできないという規則の厳格かつ絶対的な遵守の確立から、今グローバル規模における安全保障の強化を始める必要がある。