韓国の国民大学の教授アンドレイ・ラニコフ氏は、北朝鮮の情報機関職員による脱北は今回が初めてではないと述べ、次のように語っている-
「北朝鮮情報機関の大物職員が韓国へ亡命した一番最近の出来事があったのは1970年代だった。その時は、ケソン国家安全保障局の責任者が韓国へ逃げてきた。その後は、より身分の低い職員たちが亡命した。韓国には、高い身分の脱北者たちがたくさんいると思われるが、彼らの保護についてはなにも伝えられていない。しかし、今回は伝えられることになった。現在この偵察総局の大佐は恐らく韓国で証人保護プログラムの下にあると思われる。身分の高い脱北者たちは、一般的に厳格なセキュリティの下、別の名前で暮らし、韓国の情報機関の分析センターで働いていることが多い。しかし脱北者の大多数は、はるかに悪い環境に置かれ、韓国の貧しい人々と同じレベルで暮らすことになる。なぜなら彼らはコンピューターを見たこともなければ、自動車を運転したこともないなど、通常、何の能力も持っていないからだ。
北朝鮮の大佐の亡命が報じられた少し前、約10人の北朝鮮人が韓国へ亡命した。しかし韓国のマスコミはなぜ今になってこの事を伝えたのだろうか?ロシア科学アカデミー極東研究所のコンスタンチン・アスモロフ主任研究員は、韓国大統領選挙と関係があるとの見方を示している。複数の韓国人も、韓国のジャーナリストのインタビューで同じような意見を述べている。しかし、ラニコフ氏は別の見方を表し、次のように語っている-
「脱北者の数は、選挙とは関係ない。これは豆満江に張る氷の状態によってのみ決まる。豊富な情報を持つ複数の脱北者には、こっそりと分析センターで給料の高い仕事が与えられる。誰かが、プロパガンダ目的で関心をひきつけようとすることはあるが、しかし今は特にそれをする必要はない。今年、韓国の与党は選挙で得票率70パーセント以上を獲得して、同国の選挙史上前例のない勝利を勝ち取ろうとしている。これは、自分たちの判断で憲法を根本的につくり直すのを可能とする。そのため私は、選挙前にこのような脱北者に関する騒々しい情報キャンペーンをする必要があるとは特に思えない。とはいえ、過去には同じようなことが実際に行われたことがある。」