南シナ海をめぐっては、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレーシアが中国と紛争を行っており、東シナ海に関しては、尖閣諸島(魚釣島)をめぐり、日本と中国の間の領土紛争が沈静化したり悪化したりを繰り返している。
声明の中で外務省報道官ルー・カン氏は、経済問題に集中し、地域の対立を加熱させないようG7諸国に呼びかけた。「世界経済の回復が弱いなか、G7は海上紛争を煽り、それに介入し、地域紛争を誘発するよりもむしろ世界的な経済的、政治的協力に焦点を当てるべきだ」。先に中国の王外相は、南シナ海の島々への中国の権利に挑戦しないよう、近隣諸国に呼びかけた。「何らの紛争地域も存在しない。全ての島は、合法的に中国に属している。国際仲裁を誘致しようとする試みは、直接的な挑発であり、内政干渉であるとして、中国側に受け止められる」
この舌戦は、日本、フィリピン、ベトナムの関係が大々的に成長していることを背景に繰り広げられている。日本は両国に巡視船を供給し、その船員を養成する。最近ベトナムのカムランの海軍基地に初めて日本のミサイル駆逐艦2隻が入港した。訪問の目的は合同演習だ。それに先立ち同様の演習が、しかも日本の潜水艦まで参加して、フィリピンで行われている。
日本は積極的に南シナ海紛争に関与している。極東研究所日本研究センター所長ヴァレリー・キスタノフ氏は次のように述べた。
「その役割はより顕著になってきている。東シナ海を介して中東から日本に来る石油の80%が運ばれているため、この海は日本にとって非常に重要だ。問題はパラセルおよびスプラトリー諸島(中国では南沙および西沙諸島と呼ばれる)。 2013年末以来、中国はこれら領域で大規模水力技術の開発および建設工事を行っており、さらには人工島の建設も行ない、太平洋地域の国々から疑惑や批判を引き起こしている。中国は戦略的に重要なマラッカ海峡に隣接する領域を制御しようとしている。同海峡を通じて、中国の貿易の約60%、中国の炭化水素輸入の80%が運ばれている。しかし、東シナ海では、当事者の和解と問題解決の見通しが全く見えない。日本も中国も領土問題で譲歩は行わない。東京が尖閣諸島(魚釣島)は日本のものだと教科書に書くと、中国外務省は反論を行う。それらが中国に属していることは紛れもない事実である、と」
5月のG7サミットへの準備で、安倍晋三首相は「G7」指導者らが領土紛争に対する中国の攻撃的な政策を抑制する必要性を訴える宣言を承認するよう努めている。日本は、国際社会は人工島の建設とその軍事化を容認することはできないと述べた。東京の方針には妥協がない。しかし、G7のメンバーは中国との経済関係に興味を持っており、中国と紛争を起こす危険を冒したくない、ということは明らかだ。したがって、彼らが日本の宣言案を承認するかどうかは不明だ。