「ロシア、インド、中国は、BRICSなど一連の統合組織のコアとなっている。しかし、インドの上海協力機構加盟で RICは全ユーラシア空間を作り変え、全く新たなスタートを切らせることになる。具体的には、中央アジアにおける過激主義とテロの不拡散においてロシア、インド、中国の協力関係が活性化する。また、エネルギー分野での協力の機会も新たに生じるだろうし、ロシアとインドの間の経済協力の発展に対する主要な障害、つまりインドを大陸の主要部分から切り離しているパキスタンやヒマラヤのために、しかるべきインフラが欠如しているという事実も除去される。イランとコーカサス越しにインドとロシアを、さらには北ヨーロッパを結ぶ南北輸送回廊プロジェクトの活性化も期待される。これは、シルクロードプロジェクトの枠組みの中で発展している物流を論理的かつ幾何学的に補完するものであり、たとえば空コンテナの逆流問題を解決できる。」
スプートニク:モスクワのRIC外相会議ではシリア、ウクライナなど一連の国際問題も討議された。ロシアはこうした問題でもインドと中国の支持を期待できるだろうか。
「そのような問題では、各当事者が自分の利益を第一に追求している。インドと中国自体が分離主義の問題に直面しているということを心に留めておくべきだ。ゆえに、たとえばクリミアの問題で顕著な支持を期待することはできない。しかし、インドと中国は賢明な立場をとっている。領土保全の原則への忠誠を表明し、同時に、当該地域におけるロシアの国益の存在も認めている。だからこそインドも中国も、ロシアへのクリミアの再統合をめぐる状況について非難をしていない。」
スプートニク:米国と日本は積極的にインドとの関係を発展させている。彼らは明らかにインドをロシアと中国から引き離そうとしている。この方針に成功の余地はあるだろうか。
「中国とのバランスになるような同盟国の輪をアジアにかけること。それが米国の黄金の夢だ。米国は中国に真っ向から立ち向かう準備ができておらず、時がたつほどにその余地は少なくなっていく。ゆえに米国は戦略を変え、伝統的な同盟国である日本と韓国、さらにはインドやベトナムの力を借りて中国を抑止しようとしている。おそらく、例えばインドと米国との関係発展など、ある種の傾向が、インドは反中国ブロックに参加する用意があるのでは、とコメンテーターが語る根拠となっている。しかし、インドはバランス政策、非対立的政策を追求しており、中国に対するバランスとなる気はない。
中国は米国とアラブ首長国連邦と並ぶ、インドの三大パートナーの一つだ。先週の金曜日、私たちはちょうどRIC閣僚会議をテーマに北京との電話会議を持った。中国の参加者は、インドは独立した外交政策をとっている、と言っていた。二国間関係に複雑な問題が存在し、インド国内でも政治家や専門家の視点がずれているにも関わらず、中国との対立に入るつもりはないようだ、と述べていた。」
ボリス・ヴォルホンスキイ氏によれば、1990年代後半に、当時のロシア外務大臣エフゲニー・プリマコフ氏によって提唱されたモスクワ-デリー-北京という協力フォーマットは批判または嘲笑にさらされたが、それが今こそ徐々に実現しつつある。インドと北京の関係改善はまた、BRICSと上海協力機構という、ロシアが創設者の一人となった多国間フォーラムへの参加にも貢献する。