チェルノブイリ原発の事故処理には60万人以上が参加した。当時のソ連のほぼ全地域の代表者たちが事故処理に従事した。原発では現在2500人が作業を行っている。彼らの課題は、事故が発生した4号機を覆うコンクリート製の石棺の上に新たな「アーチ」型の構造物を建設することだ。4号機の石棺は、外部要因と放射線の影響で崩壊し始めた。これは極めて危険だ。なぜならそこには今もおよそ200トンの放射性物質が残っているからだ。新たなアーチ型構造物は石棺を覆い、その部分的な解体の開始を可能とする。
チェルノブイリ原発事故後、事故の犠牲者として正式に認められたのは、急性放射線症候群で死亡した200人のみ。一方で複数の情報によると、犠牲者の数は2万5000人から30万人。放射性ヨウ素の作用によって引き起こされる甲状腺がんは、チェルノブイリ事故の身体影響の唯一の重要な指標となったが、多くの学者たちは、この結論は間違っているとの見方を示している。病気が外部被ばく及び内部被ばく線量と直接関係していることを証明するのは極めて難しい。一方で医師たちの情報によると、外部被ばく及び内部被ばくを受けた2人に1人に健康上の問題が見つかっているという。
チェルノブイリ原発事故から30年。この間に人類は、放射線医学、放射線生物学、遺伝学、細胞学、免疫学などの分野でたくさんの知識を新たに得た。その基礎にあるのは、数百ないし数千もの臨床研究、実験的および理論的研究だ。残念ながらこのテーマに終わりはない。ドイツの放射線生物学研究所の学者マイケル・アーベント氏は、「世界には非常にたくさんの原子力施設がある。そしてチェルノブイリ原発やフクシマで起こったような事故が繰り返されないことを保証できる人は誰もいない。このようなリスクが存在する間は、研究を行い、地球の未来のために事故の影響を最小限にすることを学ぶことが学者たちの義務である」と述べている。