両首脳の非公式的会談の結果、具体的な経済合意が結ばれるかもしれないという情報は、両者が個人的には良好な関係を有しているとはいえ、多くの人にとっては予期しないことだった。両首脳の会談の行方について、スプートニク日本のアンナ・オラロヴァ記者はロシア戦略調査研究所の上級研究員、ユリヤ・クリャチキナ氏にインタビューを行なった。
「今日、日本の報道で安倍首相がソチに二国間経済関係の拡大に関する一連の提案を携えてくるというニュースが流された。提案はエネルギー分野にも産業分野にも様々なインフラプロジェクトにも関連している。これによって両国関係が、極東も含めて活発化する期待がもてる。実際にはこうした会談は政治対話で、将来、専門家、エコノミストらの協議を行なうための土壌作りがその目的だ。今回の会談はこの先の具体的プロジェクトを拡大する上で非常に良い土台を築く可能性がある。」
クリャチキナ氏は、現時点で極東に進出している日本企業は中国韓国のライバルらに水をあけられてしまっていると指摘する。クリャチキナ氏は今回の安倍首相のロシア訪問でこうした状況は変わる可能性があるとして、さらに次のように語っている。
「日本の実業界は昔からより慎重だ。今年の2月末から3月はじめにかけて東京で行なわれたビジネス・フォーラムでは、日本の実業界は先進発展領域(TOR)にもロシアへの投資にももちろん関心があると言うが、それでも現段階では慎重に注意を払って現地の進行具合を見守っているという感じだった。おそらく日本の実業界には何らかの成功例が必要なのだと思う。将来性はもちろんある。日本の実業界の関心を何よりもまずひくのは様々なインフラ、運輸プロジェクト、都市開発だろう。また農業分野のプロジェクトも関心の対象になると思う。」
両国の平和条約締結後の極東で露日の経済関係はどのようなものになると思われますか?
「そこまで政治と経済を結びつける必要はない。経済的関係というのはビジネスにある種の互恵的関心があり、旨みのある投資環境があるといった場所で改善されるものだ。平和条約締結と経済関係の改善を同等におく必要性はそうない。平和条約交渉と経済関係を徐々に拡大していくという2つのことは十分パラレルに行なわれうるプロセスなのだ。」