ピョンヤンからイワノフ特派員の報道をお伝えする。
朝鮮労働党のリーダー達の言葉の中では「革命」であっても、それらが「革命的」でないことは、おそらく珍しいことではない。しかしレトリックが、誤解を招いてはならない。金正恩第一書記は、自分の側近を考慮に入れないわけにはいかないような抜本的な改革など、側近にやらせはしない。だが彼の大会での報告は、解決が求められている問題について、彼が非常によく理解していることを示した。まず第一に、経済領域での問題である。経済面での成功は、金正恩第一書記の認識によれば、政治面あるいは国防力向上における印象的な成功には、遠く及ばない。
欧米のマスコミにより作り出され支えられている、広く普及した誤った考えに反し、北朝鮮は、アジアで最も貧しい国では決してないが、金正恩第一書記は、経済的な遅れを克服する意向だ。では彼は、それをどうやって成し遂げるつもりなのだろうか? チュチェ思想に従いながら、つまり自力でそれをやり遂げようというのである。これは具体的には、輸入しないで国産品で代替えする経済発展の加速化を意味する。ついでに言えば、これは、北朝鮮と同様に、欧米諸国の制裁下にあるロシアが直面する課題と同じである。しかし、ピョンヤンの通りを走る自動車やトロリーバス、商店や屋台の棚に並ぶかなり多様な商品は、次々に発射される、大体において北朝鮮製のミサイルについては言うに及ばず、北朝鮮はそうした課題を完全に処理可能なことを示唆している。
ここで重要なのは、金正恩第一書記が、経済を監督する国家機構の強化ばかりでなく、請負システムの発展を通じた勤労者の創造的イニシアチブの奨励を拠り所にしようと考えている点だ。簡単に言えば、国家計画を遂行する企業や農場に、注文によって追加的に収入を得るチャンスを与えるということだ。個人的にもチャンスが生じる可能性がある。ずっと北朝鮮の状況を見守っている専門家達は、北朝鮮にもすでに、かなり多くの私企業があり、富裕層も存在していると確信している。北朝鮮の官僚達は、小規模な会社の存在は認めているが、私企業や富裕層の存在については否定している。しかしそれならば、ピョンヤンの街で見かける、多くの高級車はだれが運転しているのだろうか? 官僚や党幹部、特務機関のメンバーなのだろうか? いったい誰が、大きく高価な新築アパートを購入するのか? ピョンヤンでアパートの部屋の売買が行われているが、公式にはこれも否定されている。しかし、追加払いを伴った交換という隠れ蓑の裏で、事実上の売買が存在しているのである。
そして官僚は、改革の存在も否定している。彼らは、そうした言葉さえ使わない。北朝鮮の社会政治・経済システムは、いかなる改革も必要ないと強調するか、 何のためにこれほど完全なものを変える必要があるのだと逆に質問してくる。
しかしすでに上述したように、金正恩第一書記は、国の経済的な遅れを克服する必要性を認めた。これはもう、事実である。北朝鮮における「改革」もだ。何と呼ぼうが「改革」は事実である。大会での金正恩第一書記の演説から判断して、それは今後も縮小しないばかりか、逆に新しい刺激を得るにちがいない。ともかく、そのことに期待を持ってよいと私は思う。