当初からフォーブスの見立てに疑念を抱いていた著名なロシア人日本研究者ドミ-トリー・ストレリツォフ氏は次のように述べた。
「日本がロシアのG7復帰に関する決議を提案することは疑わしい。それは、現在の状況ではあまりにも唐突であろう。日本には米国の他の同盟国より多くのことが許されているが、それでも日本は一定の限界を踏み越えることはない。しかし、重要なことは、日本はロシア自体がG8というフォーマットに戻る準備ができているという幻想を抱いていない。ロシアのような国を追放しておきながら、再度招待することはできない。西側はいまや正常な関係を回復するためには一定の期間が必要だということを理解している。しかし日本が今のような状況でロシアと西側の架け橋になろうとしていることは本当だ。安倍首相はすでにソチでプーチン大統領と会談した。今年のうちに日本へのロシア大統領の公式訪問が実現した場合、それは西側諸国への明確なメッセージになる。ロシアとのあらゆる政治的な食い違いにもかかわらず、モスクワとの対話は継続し、発展させる必要がある、というメッセージに」
実際、安倍首相はサミットの初日に、シリアの平和と安定を達成するために、プーチン大統領との対話を維持することが重要だ、と述べていた。また、西側は「国際社会が直面する課題の解決のために建設的な役割を果たすようロシアに呼びかけ」た、と。
フォーブス誌はまた、日本の首相は特にアジアで樹立された「リベラルな国際秩序」を弱体化させる可能性があるロシアと中国との戦略的提携を阻止するべく努めている、と指摘した。ロシアと中国の関係は確かに、戦略的な性質のものだ。しかし、ストレリツォフ氏によると、日本は、単独でそれを防ぎ、または破壊できると考えるほどナイーブではない。
「第一、ロシアと中国の間には、いかなる軍事・政治的同盟も予定されていない。ただ、軍事技術協力や経済協力のある側面が東京を刺激しているのは本当だろう。日本はロシアが中国に一方的に依存することを望まず、ロシアが東アジアの国際関係における完全なメンバーとなり、外交的な選択肢が広がることを望んでいる」
日本自身も、米国との戦略的同盟を維持しながら、ワシントンの影響からより高度の自由を得たい立場だ、とストレリツォフ氏。
「安倍氏の外交戦略は国際情勢における日本の役割を強化し、米国との関係で依存度を低減するというものだ。しかし、経済状態が思わしくないことを背景に、さらには議会選挙が間もなく行われるという状況でそれを行うことになる。安倍氏は外交の成功をアピールすることが重要なのだ」
最も興味深いことは、国際舞台で独立性を高めるという日本の欲求が米国の利益に反しないということだ、とストレリツォフ氏。ワシントンは、日本が地域のリーダーとしての地位を固めることで、東アジアにおける自由民主主義の価値観の伝道者の役割を担うことを期待している。