対ロシア制裁を延長する決定は、予想済みだった。米国のサマンサ・パワー国連大使は昨夜、ロシアのジャーナリスト2人を殺害した容疑の元ウクライナの飛行士ナデジダ・サフチェンコ氏がロシアの刑務所から解放されたことに応じ、「米国は違法拘禁者の祖国返還を含めミンスク合意に基づく国の義務を遵守するようロシアに圧力をかけていく。それにはウクライナからのロシア軍の撤退やクリミア占領の終了も含まれる」とコメントした。
ミンスク合意違反やクリミア占領という同じ主張が今日伊勢志摩でもG7首脳らに出された。対ロ制裁は継続され、必要に応じて拡大・強化されるという。ロシアはミンスク合意の当事者ではなく、遵守の義務も負っていないという、ロシアの度々の声明も、考慮されることはなかった。英国のキャメロン首相は、制裁の続行は「ウクライナがロシアの侵略の犠牲ににあっている」からだという。しかしキャメロン氏もG7のほかの首脳も、強力な諜報機関や軍事専門家を抱えており、ロシアがウクライナ侵略を決めた場合、わずか数日で制圧できたであろうことを十分認識している。クリミアの占領という神話はロシアのこの半島を訪れだした米国人を含む外国人の観光客が払拭し始めている。「占領のにおいは全くしない!」地元の人々のおもてなし、美しい景色、手頃な価格で上等のサービスを楽しみながら、彼らはこう驚く。
しかし、これらの現実は、G7の指導者たちには興味がない。西側の黒幕らに支持されて実現したウクライナの悲劇は、シニカルにもロシアへの圧力を正当化するために利用されている。ロシアの罪は、米国が世界の運命を決めるという権限に疑問を呈する勇気をもったことだけだ。
ロシアはこのような「無礼な」態度を米国にとる唯一の国ではない。 米国中心の一極世界を中国も受け入れない。ゆえに中国も常に西側に批判されている。いまG7伊勢志摩サミットで採択された決議では、南シナ海の係争諸島周辺における中国の活動の活発化への懸念と、平和的手段を通じて地域のすべての紛争を解決する必要性が表明されたのみだが、ちょうど欧州理事会のドナルド・トゥスク代表の、G7諸国に中国に「強硬姿勢」を取るよう呼びかける声明とタイミングが一致している。中国もまた厳しい反応を出した。中国は「自分の業務、つまり経済協力に集中し、権限外のことで指図しないよう」G7諸国に訴え、開催国日本の中国を隔離する試みを非難した。
結局、何がG7で達成されたか?クリミアはロシアのものであり続ける。人民がそれを望んでいるからだ。キエフはミンスク合意に違反し続ける。ロシアは経済の近代化をスピードアップさせる。中国は南シナ海を含め自らの軍事的ポテンシャルを強化していく。そして、解決策を見つけるために西側、ロシア、中国が力を合わせることを必要とする世界の問題は蓄積し、深刻化していく。素晴らしい!