「オフショアへの資産移転についてのパナマ文書で、日本でひかかったのはほぼ2000社ある大企業や公的企業のうちのわずか270社。納税回避という面ではこれは重要というには程遠い。なぜなら日本には1986年にかなり厳しいコントロールが採択されており、これが資産を移転したり、利益を日本に戻す方法を調整したからだ。
しかもこれはいまだに機能している。だが問題は別のことにある。世界経済は今、巨大な多国籍企業が資産を海外に移し、海外での組み立てを組織するなかで、別のタイプの組織形態に変貌しようとしている。その一方で本国にには、様々な半加工品だけしか残していない。経済協力開発機構(OECD)の統計では国際貿易のおよそ30-40%は完全に出来上がっている最終的な製品ではなく、半加工品が占めている。
このプロセスは30-40年前くらいから始まったが、世界経済がこれに注意を向け始めたのはようやく最近になってからだ。なぜ組み立てオペレーションの海外移転が、日本にとってはこれはまず機械産業だが、これがこれだけ重要な意味を帯びているのか? 実は日本国内に残された生産は事実上、最も単純な半加工品に留まっていて、その結果、経済用語でいうところの日本経済の空洞化がおきてしまっているからなのだ。」
「安倍政府は2012年の段階ですでに、様々な金融制度を使い、日本市場に入ってくる収益や預金を企業、民間の別を問わず、国内市場における消費、投資需要に変えるというプログラムを採択していた。
だが今のところ、あまりの円高でこのプログラムはうまく機能していない。円高のときは生産は海外に移したほうが得だ。日本の収益に対する税率は世界でも最高クラスに入るほど高い。だが日本の国際収支統計の赤字幅もまた世界では最大級に入る。これもまた、安倍内閣には非常にきつい問題をごっそり生み出している。先ほど述べた産業の空洞化もそのひとつだ。」