このような圧迫戦術には何らの新しい、驚くべきこともない。ただ驚くべきは、日本、韓国、西側が、その頑固さが全く反対の結果を出すことに気付いていないかのように、北朝鮮が核ミサイル兵器開発の断念を強制しようと頑固さを示し続けていることだ。
米国が「北朝鮮は秘密裡にウラン濃縮計画を持っている」と北朝鮮を非難し軽水炉原子力発電所建設を停止した2001年では、北朝鮮には現実として、原子爆弾はおろか、ウラン濃縮プログラムはなかった。
2005年、北朝鮮に対する核廃絶要求の厳格化により北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議を破綻させようとする米国と日本の絶え間ない試みに疲れた北朝鮮が、核兵器の創設を発表した。2006年10月には初の核実験を行った。そのひと月後、韓国外務省で私が聞いたところでは、あれはプルトニウム装置であり、やはり北朝鮮にウラン濃縮プログラムはなかったのだろう、ということだった。
これは何も北朝鮮が誰かを攻撃したいと思っているという意味ではない。北朝鮮は経済改革を実現するための平和な生活を望んでおり、交渉再開を提案している。しかし、今、日本、韓国、米国が再び、北朝鮮が武装解除するまで北朝鮮と交渉することに同意しないと述べた。これはつまり、西側がついに現実の感覚を完全に失ったことを意味する。東京、ワシントン、ソウルがどれだけ望もうと、北朝鮮は、武装解除しない。西側が怖いからだ。そして、今日のような声明は、この恐怖を強めるばかりだ。そしてそれは、自分の核ミサイル盾を強化するという決意をも強めるだろう。
そのような感覚は、西側がネガティブな結果しかもたらさない北朝鮮への粗雑な圧迫戦術を停止し、柔軟性を発揮し、前提条件なしに交渉に同意したときはじめて、変化する可能性がある。現在の米国および韓国の政権下ではそれはほとんど不可能であるが、政権交代はそう遠くない。重要なのは、挑発を停止するよう平壌に呼びかけるワシントン、東京、ソウルが、自ら北朝鮮を孤立化し、圧迫する政策によって北朝鮮を挑発し、何らかの決定的な行動に踏み出させないようにすることだ。しかし、彼らがそれこそを望んでいる、ということが、ちょうど本日の東京会談で示された。