英国にとってEU離脱で背負うことになるリスク派なんだろうか? 世界経済国際関係研究所、欧州統合政治問題課のセルゲイ・ウートキン課長は、現段階で予測するのは困難としながらも、マイナス影響は必ずでるとして、次のように語っている。
「EU離脱支持者らは自分たちの国が他国との自由貿易という従来の路線を行なうことができると考えている。これを持ち出す際に彼らがよく引き合いに出すのは韓国の政策例だ。韓国はあまり大きくはないが、かといって小国でもない。それでいて何らかの統合体に属してもおらず、二国間自由貿易合意を結び、貿易障壁を下げる方向性をとっている。つまり離脱支持者らは、EUを出たら英国は閉鎖した国ではなく、逆により大きな自由を獲得し、EUが従来強いてきた重荷から解放されるという期待を抱いているのだ。実際EUは多くの追加的義務を強いてきたし、そのなかには加盟国にとってはまったく身近な問題ではない外交的な義務も入っていた。このためEU反対者らは自分たちの視点からすると価値のなさそうなEUのプロジェクトに金を出すよりは、具体的な国を相手にしたほうがよく、EUに全権を渡さないほうがいいと考えている。だが私は英国の抱える問題の全てがEU離脱で解決できるとは到底思えない。逆にこれは英国にとっては今自分がその一部をなしているEUの市場から引き離される事を意味すると思う。なぜならEUのほかにもいわゆる欧州経済ゾーンというものが存在しており、それにノルウェー、アイスランドなどEUに加盟してはいなものの、EUの合意に関係している国が入っている。仮に英国がノルウェーのようになりたいと望んでいるとすれば、結局は程度の差こそあれ、やはりEUの条件をのまざるを得ない。こうした欧州経済ゾーンにも加わらないと決めるとすれば、英国に対してはEUの優先的合意と関係のない第3国に対するのと同じように貿易障壁が設けられてしまう。」
「離脱で制裁が解除されると期待するほうが間違いだ。しかももちろん、今の危機状態でも一枚岩的立場をとるほうが各国と個別に関係を構築するよりずっと楽だ。英国がEUを離脱した場合、乱気流的な時期が発生する。それをロシアは利用する状態にはなく、逆に失うものが出てくるおそれもある。卑近な例としてポーランドを引き合いにだすと、この国を相手にする場合、結局のところ個別の国として対面したほうがロシアには好都合か?それともEU加盟国としてのほうがいいのか? 答えはもちろんEU加盟国としてのほうだ。このため離脱で得るものは最低限で、逆に失うものは長期的で予測不可能なものになる危険性がある。」