日本人建築家の目から見たモスクワ、今がこの街の運命の分かれ目

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モスクワ国際ビジネスセンター - Sputnik 日本
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6月30日から7月3日まで「モスクワ・アーバンフォーラム」が開催され、著名な建築家やデザイナー、街づくりの専門家たちが互いの経験を分かち合った。日本人建築家も2人招かれた。2020年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場のデザインを手がけた隈研吾氏と、北京を拠点に活躍している、MAD Architects共同代表の早野洋介氏だ。

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早野氏はモスクワの街の印象について、モスクワが地域の拠点としての機能を果たしているだけではなく、アゼルバイジャンやカザフスタンなどからも人が集まってきているのが面白いと話した。実際、モスクワの街中では中央アジア出身者をよく見かける。

早野氏「モスクワに来たのは2回目です。3年前に来たときは、できるだけモスクワを知ろうと思い、セブン・シスターズ(※モスクワ大学やロシア外務省に代表されるスターリン様式の建物。モスクワ市内に7つあることからセブン・シスターズと呼ばれる)を歩き、古い地下鉄駅をできるだけ多く見てみました。今回、かなり街の印象が変わっているなと思いました。メインストリートのプロジェクトが街中で動いていますね。でも交通にはまだ問題があるなと感じています。」

早野氏が目にしたように、モスクワ中心部では、2015年から2018年にかけてプロジェクト「私の通り」が進んでいる。緑を増やし、歩道と車道の区分を明確にし、歩行者にとって快適な道を作ろうというものだ。2015年には47の通りで工事がなされ、2016年には59の通りの改善工事が行われる予定だ。

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隈氏はモスクワの将来にとって「今が重要な時」だと指摘する。

隈氏「モスクワの街は、すごく変わりつつありますね。私が最初にモスクワへ来たのは12年前でしたが、その時と全く違って色々な新しいことも起きていますし。街が良い方向へ変わるか、悪い方向へ変わるか、今が重要な時です。この街には、世界のアヴァンギャルドの最先端だった建築の伝統があるわけですから、良い方向へ変わってもっと面白い街になってほしいですね。」

フェスティバルの目玉として、隈研吾氏による「自然への回帰:テクノロジーと、建設における環境保護の新しい波はどのように共存するのか」と題したレクチャーが行われた。現代日本を代表する建築家が来るとあって会場は満員。環境問題や建築に関心のある若者の姿が多く見られた。

隈氏は、街と里山をつなげた那珂川町馬頭広重美術館(栃木県)、市民ホールでありながら昔の日本のコミュニケーションスペースである土間を設けた「アオーレ長岡」(新潟県)、木の温かみがコーヒーの香りと調和する「スターバックス太宰府天満宮表参道店」などの、自然を意識し和の伝統と現代の技術を融合させた実例を多数紹介した。

隈氏のレクチャーを聴きに来た、大学で建築学を専攻しているアルスーさんは「今日見た中では白樺を使ったプロジェクトが特に気に入りました。白樺は私たちロシア人にとっても身近な素材ですから。建物と自然の間にあえて『境界』を作らないというアイデアがとても面白いと思いました。」と話していた。

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