ロシアバレエ、ロシア語を見事にものにした日本人バレリーナ

© 写真 : Elena LekhovaMiki Nishiguchi
Miki Nishiguchi - Sputnik 日本
サイン
20世紀のロシアの偉大な作曲家セルゲイ・プロコフィエフのバレエ「シンデレラ」のオリジナルヴァージョンの初演がプロコフィエフ生誕125周年の今年、7月5日にエカチェリンブルグのオペラ・バレエ劇場で幕を上げる。

バレエのオリジナルヴァージョンを作り上げるために振付家のナジェージュダ・マルィギナ氏は古典バレエから現代のアヴァンギャルドヴァージョンまで夥しい数の「シンデレラ」の舞台を検討し、最終的にこのお話を現代に移すことに決めた。マルィギナ氏は「技術の進歩がどんなに私たちの背中を押しても愛、幸せ、苦しみ、恐れ、妬み、孤独など人と人のかかわり合いほど私たちの心を揺さぶるものはないのです。このため私たちは『シンデレラ』を今に通じるアクチュアルな筋書きとしてとらえようと試みました」と語る。

プロコフィエフがバレエ「シンデレラ」を作り始めたのは1939年。第2次世界大戦の終了間近の時期で初めて舞台にかけたのは1945年の11月、モスクワのボリショイ劇場だった。演出家のヴャチェスラフ・オクネフ氏は「バレエ『シンデレラ』が世に誕生した時代とはみんなが祝祭を待ち望んでいたときだった」と語る。

「これは多くの点で今の時代と重なります。私たちは経済危機に振り回されて疲弊し、前向きに生きたいと切望しています。私たちの舞台はスコアから外れることなく、今の感覚に合わせて組み立てられており、マルチメディアの環境に生きる若者たちの愛の物語を語っているのです。」

劇場新聞の編集者、エカチェリーナ・ルジエヴァ氏はスプートニクのインタビューに次のように語っている。

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「バレエにはたくさんの独自の試みや今までにない技術上のソリューションが使われています。このプロジェクトには古典バレエが多様なマルチメディア的手法と見事にマッチしており、しかもそこには繊細なユーモアさえあります。それにコスチュームも装飾もバレエの同時代的精神にふさわしいものです。お話には新たなヒーローの「時」が加えられました。プリンスといったら全くなんて気恥ずかしがりやさんなんでしょう。踊るときも眼鏡をかけたままです。シンデレラの義理の姉たちはペローの話のような意地悪な人間ではなく、普通の女の子ですが、ただそれぞれに癖があります。シンデレラ自体はかわいらしいナイーブな女の子で、振付師はわざとソロダンサーのなかでも一番華奢で一番エレガントなバレリーナを選びました。それが日本人のミキ・ニシグチです。」

西口さんは見事なロシア語を話されるが、スプートニクへのインタビューは日本語で答えてくださった。

スプートニク: エカテリンブルグの劇場に入るまでに、サンクトペテルブルクのヴァガーノフバレエ学校を卒業しましたね。自分のご生活のこの部分を少し教えてください。

「日本であったワークショップに、ヴァガーノフの先生が来られていて、そこで、ヴァガーノフへの入学のオーディションを受けて、行くことになりました。2012年から2014年です。」

スプートニク:そのとき、ロシア語も身につけられたのでしょうか?

「そうですね、まあ、ちょっと、今ほどではないですけど、向こうでも留学生のための授業もあったので、向こうで勉強しました。」

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スプートニク:大変でしたね。バレエとロシア語を両方とも学ぶのは。すごいですね。ロシアのバレエのスタイルとか、日本のバレエスタイルとか違いますか?

「日本には、やっぱりロシアのようにバレエ学校ってちゃんとしたバレエ学校っていうのがないので、教える先生によって、その子どもたちのも変わると思うんですけど、ロシアのバレエは、特にわたしは、上体の使い方がきれいだと思います。上体から手の先指の先の使い方っていうのが私はすごい好きで、そういうところのあこがれから、ロシアで勉強したいと思って、留学しました。」

スプートニク:一番好きな音楽、作曲家は誰ですか?

「やっぱりチャイコフスキーの曲はすごい一番きれいだと思います。聴いていて一番わくわくするのは「くるみ割り人形」です。」

スプートニク:今回のシンデレラはどうですか?

「バレエの始まりがまず、スリッパみたいな、ガローシュク(レインシューズのこと)を履いて、その中にトーシューズを履いて少し踊るっていうシーンがあって、その後に、トーシューズを脱いで、ジャズシューズで踊ったりするシーンもあって、2幕の、舞踏会のシーンでは1分間でトーシューズに履き替えないといけないので、すごい大変です。」

スプートニク:西口さんの心の中で、何かシンデレラの性質がありますか?

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「私の中では、すごいおとなしいんだけど、心の中ではいつも自由になりたいとか、自分の好きなことをしたいとか、そういう夢をいつも持っているシンデレラだと思います。」

スプートニク:どちらのダンスが好きですか?クラシックダンスか、モダンダンスですか?

「あーむずかしいですね。クラシックも好きですし、モダンの作品も好きです。『くるみ割り人形』のマーシャも踊ってますし、『リーズの結婚』でのリーズの真ん中のソリストの女の子も躍らせてもらいまして、ここの監督の作品にもゲストとして躍らせてもらったりしています。」

スプートニク:バレエには才能と努力のどちらが重要でしょうか?

「才能も大事だとは思いますけど、やっぱり努力はすごい大切なことだと思います。やっぱり、努力しないとできないことはすごい多いですね。才能だけではやっぱり何かが足りないバレリーナになってしまうと思います。」

スプートニク:バレリーナの生活は難しいですか?

「やっぱり大変です。すごい、ストレスとか自分との戦いのところが多いので、しんどくてもやらなくてはいけないときもあるので、やっぱり大変な仕事だと思います。」

スプートニク:ストレスの原因はなんですか?

「そうですね、休む時間がなくて、リハーサルがすごい続いたときとかは、お昼に家に帰る時間もなくて、そのまま一日中劇場にいたりとかするときは、すごいやっぱり疲れからのストレスが多いですね。」

スプートニク:リラックスできますか?

「ちょっと町の中を歩いたり、休みの日はどこかに出かけて、ちょっと仕事のことを忘れたりするようにしてます。」

スプートニク:ロシアの生活にはもう慣れてきましたか?
「はい」

スプートニク:お友達もいっぱいいるでしょう?

「そうですね、劇場の人たちもすごくみんな優しいので。みんなお互いにサポートしています。すごい良い人たちばっかりです。」

スプートニク:バレリーナは、ダイエットを守らなければならないでしょうね。日本の料理はカロリーが低いですが、ロシアの料理はいかがでしょうか?

「ロシアのは、マヨネーズが多いですね。」

スプートニク:エカテリンブルグの生活の良い面、あまりよくない面は強みはなんですか?

「エカテリンブルグはモスクワとかより、そこまで人が多いわけではなくて、でもすごいやっぱり生活するには十分なくらいの、生活するのに十分便利なところだと思います。」

スプートニク:日本に帰ってまず何をされますか。お友達と会う、お母さんと話をするとか、それともたくさん日本の料理を食べますか?

「お母さん、家族がいつも迎えにきてくれるので、まずは家族と会って、そうですね、日本のおいしいものを食べに行きます。」

スプートニク:これからのご計画は?

「これからの予定はまだわからないですね。」

スプートニク:ぜひがんばってください。ありがとうございました。ご成功をお祈りいたします。

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