スプートニクは、日本通運広報部の福田健一郎氏に話を伺った。福田氏によれば、もともと舞鶴からウラジオストクまでノンストップで貨物を送ることができる航路はなかった。日本の各港からは韓国・釜山を経由してウラジオストクに輸送するのが一般的なルートである。しかしその場合、釜山でいったん荷物を降ろし、コンテナの中身もすべて出し、新しいコンテナにつめかえる必要があった。コンテナは船会社の所有物であるためだ。船の乗り換えをすればするほど、つめかえに要する時間も増し、全体の所要時間に大きな影響を及ぼしていた。
今回の新サービス実現には、DBSクルーズフェリー(本社・ソウル)が舞鶴-ウラジオストク間の新航路を設定したことが大きく貢献している。DBSクルーズフェリーは韓国の東海(ドンへ)港を中心にし、環日本海圏経済ブロックの物流に大きな役割を果たしている会社である。DBSクルーズフェリーの船は舞鶴港から、鳥取県の境港、そして東海港を経由するルートを通る。福田氏は「この間は寄港するだけで、ずっと同じフェリーで運行し、コンテナを載せたままにしておける」とメリットを語る。関係者によれば今のところウラジオストク港から荷物を降ろす作業に1日か2日はかかっているが、今後短縮されれば、より短い期間での引き取りも可能になるとみられる。
また、クライアントにとって魅力的なのはコスト削減だ。もともと舞鶴港は入港・出港にかかる費用がおおむね安価だ。それに加え、日本通運の新サービスでは、荷物量により運賃が決まる運賃設定を採用している。容積あたりの金額で、物量に比例した料金になるため、従来であれば少量貨物輸送のためにコンテナ一基を借り切って割高になっていたところを回避できるのだ。
日本通運のみならず他の国内の物流・海運会社も新しいビジネスパートナーとしてのロシア極東に関心をもっており、それぞれの道を模索している。日本各地からウラジオストクへの輸送の選択肢が増えれば、日本企業にとってロシアでの販路開拓がより便利になるだろう。