冬が長く、寒い日に家で過ごすことの多いロシアでは、高品質な窓サッシの需要が高い。また、一般的な窓だけでなく、防犯や利便性の観点からベランダを窓で完全に覆い、スペースを有効活用するのが流行っており、冬場はバルコニーを冷蔵庫がわりに使う人もいる。ロシアには温水を使った集中暖房システムがあるが、窓サッシの質が悪いと熱が外へ逃げてしまい、寒さを耐え忍ぶはめになるのだ。筆者も極寒の中、窓の隙間に綿をつめたり、窓枠にテープを貼るなどした経験がある。資源価格高騰の時期にロシアが好景気になり、消費者の要求レベルが上昇したことを背景に、カールヴィは順調に売り上げを伸ばしてきた。
しかし原油価格の下落に伴うルーブル安の影響で、ロシア経済は冬の時代に突入。カールヴィはこれを逆手にとり、海外展開を模索した。最も近い外国である日本で「競争力のある価格で販売できる」とみた後、日本市場の調査研究に丸一年を費やし、進出に踏み切った。カールヴィにとって初の海外進出だ。
カールヴィのウラジーミル・カラグラコフ代表取締役社長によれば、カールヴィ製品の最大の特徴は、暖かさを逃がさない構造にある。
カラグラコフ社長「カールヴィの窓サッシの特徴は、部屋の暖かさを保つということです。このことは技術的な観点からも証明されていますし、日本で一般的に使われている窓サッシの構造と目で見て比べてみても、それがお分かりいただけると思います。」
カールヴィはショールーム開店に先駆けて春に札幌で展示会を行い、今月12日、13日にはリフォーム産業フェア(東京ビッグサイト)にも出展した。いずれも、関係者から品質について高い評価を得ている。場所によってはマイナス40度、50度にもなるサハリンで、カールヴィが市場を独走してきたのは偶然ではないと言えよう。
同社の製品にはロシア・ドイツ・日本の技術がそれぞれ生かされている。プラスチックの窓枠部分は、ドイツのメーカー「ヴェーカ」社の製品を採用している。ヴェーカ社はドイツにおけるサッシ市場のリーダー的存在である。窓ガラスはロシアに2つの製造工場をもつ、AGC旭硝子製だ。これらの組み立て製造は、サハリンのカールヴィ自社工場で行っている。
カラグラコフ社長は、「このルーブル安・円高をユニークな可能性だと捉え、積極的に活用しなければと思っています。今後は札幌だけではなく、函館や旭川といった都市にもショールームを設け、ゆくゆくは東京にも進出したいと思います」と意気込みを語っている。