トルコの軍事クーデターの試みがNATOに衝撃を与えた。これが成功していた場合は同盟国に軍事独裁政権によって統治される国ができてしまった。しかし、クーデターが失敗したという事実にもかかわらず、トルコの大統領の立場は、民主主義の観点から、より多くの疑問を投げかけ、それがNATOを難しい位置に置いている。
また同盟内部でロシアに対する立場が分裂している。東欧諸国や同盟指導部は、弱さを見せれば「ロシアの侵略」を引き起こす可能性があると考えている。一方で、主要な列強国は、ロシアを刺激しないように呼びかけている。
しかし、同盟の上に迫り来る最大の脅威は、米国の大統領選挙。ヒラリー・クリントン氏はNATOに関しては現状維持の方針だが、トランプ氏は懐疑的な立場であり、同盟の崩壊プロセスを開始させるかもしれない。トランプ政権は大規模な改革を要求するものと見られ、それが「NATOの棺に打ち込まれる最後の釘となるかもしれない」