「人間はバイオ・サイコ・ソーシャル的な生き物です。これらのコンポーネントのいずれかがトラブルを起こし、精神状態に影響を与える可能性があります。今回の場合は、不安定だった容疑者の精神状態が薬物の使用によって悪化しました。これは医師たちによって確認されています。加えて環境も影響を与えました。このような施設で働く職員たちは『燃え尽き症候群』になることがよくあります。その時、よく怒りの矛先となるのが職場の同僚たちです。どの国でも職場で問題が起こった後、普通に見えた人たちが武装して職場を訪れ、職員に向かって発砲する事件が起きています。誰もがある種の攻撃性の源を持っていますが、問題はそれがどのように現れるかです。」
日本のマスコミによると、植松容疑者は障害者施設の職員に「障害者は死んだほうがいい」というようなことを話していたという。また共同通信は、容疑者が衆院議長の公邸を訪れて大島理森議長宛の支離滅裂な内容の手紙を渡したと報じた。手紙には、障害者を殺害する可能性が記されていたという。なぜこのようなことが起こったのか?当局の対応に問題はなかったのか?オゼロフ氏は次のような見解を示している-
「犯罪が起こる前にそれを文書に登録することはできません。すなわち警察が行動するのは常に事件が発生した後だということです。異常な行動を取る人物に対して何らかの手続きを取ろうとするは難しく、このような事件を阻止するためのメカニズムはありません。当局はこのような場合の対処法を知らないことがほとんどです。その結果、彼らは病院に行くように言葉で頼むことしかできません。社会のグローバル化が進む今、様々な国の大勢の人々が程度の差こそあれ抑圧を感じています。まだそれが眠っている状態の人もいれば、それが大きくなり始めて内面の緊張が高まりつつある人もいます。
欧州はここ数ヶ月で文字通り暴力の波に巻き込まれた。それまで欧州の国々は安全だった。なお当局はこれを常にテロと関連付けているわけではない。それまで当局からいかなる疑いもかけられたことのない単独犯による犯行が増えている。オゼロフ氏はさらに次のように語っている-
「もちろん今日一般的な情報が人々の心理状態に影響を与えています。なぜならマスコミは恐ろしい事件を報じているからです。最近ではこれが欧州に大きく影響しました。もちろん不安定で病的な精神状態にはテレビやアブロイド紙も影響を与えます。これが良いことにつながることは決してありません。さらに現在の不安定な経済状況も影響を与えています。経済的なショックが大きい時にはいつも犯罪の発生率が高まります。なお人々が社会的に非常に緊張し、失業して自分にとって重要なステータスを失った時には組織犯罪のみならず個人レベルでの犯罪も増えます。これは精神的に弱い人や傷つきやすい人はもちろんのこと、精神的に強い人たちにさえも影響します。精神的に強い人たちは沸き起こるものを抑えますが、それでも内部では同じように緊張が高まっています。」
日本の当局は、植松容疑者の犯行を現代の悪であるテロと関連付けてはいない。また日本では2008年にも当時25歳だった加藤智大死刑囚が東京で人ごみにトラックで突っ込み、その後トラックから降りてナイフで通行人を襲うという事件が発生している。同事件では7人が死亡、10人が負傷した。加藤死刑囚は犯行の動機を「生活に疲れた」と供述した。精神鑑定の結果、加藤死刑囚には責任能力があるとされた。
これは恐ろしいことだ。なぜなら2016年、このように疲れた責任能力のある人たちがテロ事件を起こしているからだ。例えば最近では仏ニースで起こっている。アジアではテロが蔓延しつつあるのだろうか?