首相官邸も、太平洋戦争終結の日の8月15日よりも前に意向を表明したいという天皇陛下の思いを確認したという。今上天皇をこのような決断に向かわせたのは、70回目の終戦の日にあたる2015年8月15日に開かれた全国戦没者追悼式で、天皇陛下が段取りをお間違えになられたことだったという。NHKは、天皇陛下は「象徴としての務めを果たせるものが天皇の位にあるべきで、十分に務めが果たせなくなれば譲位すべきだ」というお考えだと報じた。なお1945年8月15日に今上天皇の父親である昭和天皇による終戦の詔書がラジオで放送された。そして今は来るべき意向表明のテキストをめぐる「戦争」が行われている。しかし「退位」という言葉が述べられることは恐らくないだろう。なぜならこの概念は現行の皇室典範にはないからだ。
ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、現在の状況について次のようにコメントしている-
「私は、天皇陛下はまず国益、そして部分的にご自身の健康のためにお気持ちを表明されると思っています。天皇陛下御自身が、これ以上は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴という天皇の務めを十分に果たすことができないことを認められました。政治的権威を持たない天皇は、外交団の接遇、信任状の受理、外国賓客の接遇、外国訪問など、代表者としての一連の務めを果たしています。なお天皇陛下の外国訪問は、日本との関係が良好な国とそうでもない国を明らかに示しています。これらの務めを82歳の御方が全て行うのは大変なことです。しかも天皇陛下は大きな手術を2回受けられています。天皇陛下の退位のご意向はご立派で美しく、『老いぼれ』の象徴だとは感じられません。純粋に人間としてよく理解できます。」
一連の政治学者たちは明仁天皇が生前退位する可能性を日本の政治的変化と性急に結びつけた。7月の参議院選挙で3分の2以上の議席を獲得した安倍首相は、自衛隊発展の足枷となっている平和主義的規定を取り除き、憲法改正に取り組むことができる。基本法と元首に関する規定が改正される可能性も排除されていない。憲法によると日本は今、立憲君主制でも、事実上はそうである議会制共和国でもない。日本が立憲君主制になるとしたら、その最初の天皇となるのは56歳の徳仁皇太子だ。だが、このようなシナリオが実現するか否かは、実生活が教えてくれるだろう。