スプートニクが日本の読者に向けて行なった世論調査「広島、長崎への原爆投下は誰の罪か?」では、米国が悪いと考えている回答者は51%という結果が出た。31%が「自分たちに非がある」、そしてなんと驚くべきことに18%の回答者は原爆の悲劇を呼んだ張本人はソ連だと考えていることがわかった。
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) 5 августа 2016 г.
この世論調査の結果について、モスクワ国際関係大学東洋学科の学科長で歴史博士のドミトリー・ストレリツォフ氏は次のようなコメントを寄せている。
「回答者の大部分が米国を非難していることは驚くべきことでもなんでもない。以前も同じだった。日本自身が悪いのだとする考えだが、これは反戦教育の結果であり、平和主義的な発想だ。ここでは太平洋戦争を起こしたことについて、また攻撃的な軍国主義政策について日本を非難する者と、戦争の行ない方の一線を越えたとして米国を非難する者との間で常に闘争がある。
だがソ連が悪いとする見方には日本社会にある反ロシア的要素が強まった結果ととらえるべきだろう。こうした要素は今、複雑な地政学的状況と領土問題に絡んで非常にアクティブに展開されている。だがもちろんここには一点の真実が隠されていることも認めねばならない。なぜなら米国が核実験を終えたのはソ連と対立する冷戦を直後に控えたタイミングだったからだ。」
今も続くロシア対米国の対立が悪いかどうかは判断が難しいが、原爆投下について、ロシア社会における評価は日本に比べると格段に明確だ。 ロシアの世論調査機関「レヴァダ・センター」が1年前に行った調査では85%の回答者が米国の行為は非人間的で犯罪的なものと回答しており、一日も早く戦争を終わらせるための手段として原爆投下が必要だったと回答したのはわずか7%に留まっている。どうも、ジョークは、煙のないところから現れたのではないようだ。
ストレリツォフ氏は「世界は今日、プラグマティックに、あまりにも過酷になっている。外交政策では現実主義がイデオロギー、ヒューマニズムに勝っている。日本にとっては、米国との協力は現在も主要ニュースであり続けている。なぜなら日本には自国の安全を確保する手段として米国との軍事政治的協力に代わるものはないからだ。いかなるジョークの裏にも今の世界の現実的状況が十分に透けて見える。日本とロシアが異なる陣営の側にいるという双極性の強化がそれだ」と解説している。
原爆の日に先がけた8月4日、ロシア下院のセルゲイ・ナルィシキン議長は広島、長崎への原爆投下についてしかるべき評価を下し、これを人類に対する犯罪だとみなすよう再び呼びかけている。