「日本会議の全貌・知られざる巨大組織の実態」の著者である、子どもと教科書全国ネット21の俵義文(たわら・よしふみ)事務局長は、日本会議を「欧米で言えば歴史修正主義の組織であり、極右団体」であると定義している。俵氏は日本会議が政界に強いパイプをもつ理由について、歴史的経緯を踏まえながら次のように話している。
日本会議の前身である『日本を守る国民会議』は、様々な運動を展開していました。例えば村山富市政権下では、敗戦50周年である1995年に戦争を反省する国会決議を行う準備がなされていました。これに反対するため94年の12月、自民党内に『終戦五十周年国会議員連盟』が設立されたのです。現在の首相である安倍晋三氏は当時国会議員になったばかりで、この議連の事務局長代理に就任しました。『日本を守る国民会議』は『終戦五十周年国会議員連盟』と連携して戦争謝罪決議に反対するとともに、英霊に感謝する決議をするよう運動しました。結果的に戦争を反省する国会決議は可決されず、非常に曖昧に終わってしまったのです。そのために村山首相は談話を発表せざるを得ませんでした。
また俵氏は、300名近い国会議員が日本会議のメンバーになっている理由について次のように述べている。
俵氏「衆院選が小選挙区制になり、2005年の小泉郵政選挙が証明したように、党の公認候補になれなければ国会議員になれる望みはほとんどありません。自民党の中枢と良い関係を結んでいなければ、国会議員としてやっていくことが難しいのです。日本会議の他にも、安倍首相が会長になっている創生「日本」という団体もありますし、神社本庁と関係の深い神道政治連盟国会議員懇談会という議員連盟もあります。これも安倍首相が会長になっています。このような自民党の幹部が関係している議連・団体に入っていなければ、次の選挙に出られるかどうかわからないという不安があるのでしょう。」