中国はロシアに対し領土問題に関する取引を持ちかけたがロシアは日本との友情のためにこれを断った

© AP Photo / Xinhua, File尖閣諸島/ジャオユイダオ
尖閣諸島/ジャオユイダオ - Sputnik 日本
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ロシア・中国・日本の三角形は近年、アジア太平洋地域の地政学環境における重要なファクターとなっている。この三角形は政治だけでなく経済や安全保障にも及ぶ。 その中で今前景化しているのが領土問題である。 日本はロシアと中国の協力関係の中に反日という要素を探しがちである。しかしそのような解釈は現実とは異なって いる、とロシアの専門家は確信している。アジア太平洋 地域におけるいかなるブロックに参加することもロシアの利益に反する。ロシアには安定したアジアが必要なのだ。

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ロシアは長らく原則的な 立場をとっている。 誰かを敵に回して誰かと手を結ぶのではなく国際情勢の あらゆる対立要素にバランスの取れたアプローチをとるというものである。モスクワ 国立国際関係大学 東洋学部長で 歴史学博士のドミートリイ・ストレリツォフ氏 はそう語る。この原則は東アジアにも適用される。2015年 12月に承認されたロシアの最新版国家安全保障戦略には「ロシア連邦は地域の安定と安全を保障する確実なメカニズムがアジア太平洋地域に構築されることに賛成だ」と記されている。たとえばロシアは、尖閣諸島の問題で中国の側に立つ用意はない 、とストレリツォフ氏。

「私の知る限りでは、中国側は繰り返し、ロシアに対し、非公式に契約を持ち掛けてきた。ロシアが日本に対する紛争で中国を支持するかわり、中国はクリル諸島をめぐる紛争でロシアの支持を取る、と。中国は、実際には、今の日本とロシア間の紛争では、日本よりの姿勢だ。しかし、ロシアは中立を原則としているため、これを否定している」

最近、日本のメディアでしばしば、ロシアを「中国の脅威」抑止のグローバル・システムに引き込むことは悪くない、との日本の専門家の引用が見られる。産経新聞によると、ロシアと日本の関係を強化し友好的な関係を演出すれば台頭する中国の封じ込めに役立つという。5月のG7で安倍首相は、モスクワと北京が東京に対して団結しているという懸念を唯一の理由にロシアとの交渉を開始したいと述べた。しかし、ロシアの国益の観点からは、中日紛争におけるロシアの調停には意味がない、とストレリツォフ氏。

「当事者がすでにかなり立場を固めてしまっている。日本は領土問題は存在しないと主張し、中国は紛争の存在の認識を求めている。このような原則的な立場を歩み寄らせることはいかなる仲介者にも不可能だ。」

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ストレリツォフ氏は、ロシアは日米防衛協力の敵ではないと述べた。ロシアは一度として米国とそのアジアのパートナーとの同盟に公式な批判を行っておらず、逆に、国際安全保障システムの不在下のアジア太平洋地域における安定要因として日米同盟を評価している、とロシアの公式見解を述べる専門家。最近では、ロシア側がネガティブな反応を示したのはTHAADの配備問題だ。

「ロシアはこれに反対だ。なぜならこれらのシステムは国際管理の外にあり、一方的にかつ潜在的に地域の力のバランスをどちらかに有利な方へ変更し、国際安全保障への新たな脅威を作りうるからだ」とストレリツォフ氏。

2016年6月に中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が署名したグローバルな戦略的安定性に関する共同声明で、両国は強く、THAADの配備に反対していることを思い出してほしい。それは「複数の大国の戦略的な利害を同時に深刻に侵害し、地域の緊張やミサイル拡散の脅威を加速させる」からだ。ロシアは地域における軍事・政治情勢と軍拡競争の国際管理を何よりも望んでいる。ロシアはアジアの安定と相互安全保障を必要とする、と専門家。

「この用語はもう使用されないが、アジア太平洋地域のための集団安全保障の何等かのシステム、それが今、ロシアが賛成しているものだ。そのため、ロシアはすべての国とでこの分野での対話を行い、このプロセスが多国間の性格を持つことに関心がある。この点において、ロシアはそのような安全システムの仲介者として、唱道者として大きな可能性を秘めている。しかし残念ながら、今、東アジアでは、米国と中国の対立に基づく新たな両極性ができており、このプロセスは不可逆的だ。」

著者と専門家の意見は必ずしも編集部の立場と一致してはいません。

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