2016年夏:地政学的状況が劇的に変化 嵐は訪れるか?

© AFP 2023 / Chris J RatcliffeBrexit
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今から25年前、ソ連でその運命を決定する出来事が起こった。8月クーデターはソ連の過去にけりをつけ、その後の4か月間はソ連公式解体までの断末魔の苦しみとなった。

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超大国は多くの人にとって現実的ではないように思われた。しかしその後の数年間はロシア近現代史の出発点となった。ソ連崩壊から四半世紀の今夏の出来事も、大勢の専門家たちに、長い間それ以外選択の余地はないと考えられていた慣れきった世界秩序からの逸脱という、当時と同じような感覚を残している。なお複数の国にとってはすでに今、方向性や方針の変更が明らかとなっている。雑誌「グローバル政治の中のロシア」の編集長フョードル・ルキヤノフ氏は、スプートニクの対談取材の中でこのような印象を語った。ルキヤノフ氏は、今夏の重要な政治的出来事は、その規模や予測不可能性でひどく驚かせ、文字通り息をつく暇も与えないと述べ、次のように語っている-

「一度に様々な出来事がたくさん起こった。その一つは、英国でのEU離脱に関する国民投票だ。米国ではドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補として正式に選ばれた。これは多くの人々にとって衝撃的で前例のない出来事となっている。またトルコでのクーデター未遂もそうだ。そして何より重要なのは、その結果だ。なぜならトルコでの最近の出来事は、アナリストにとってさえもあまりよくわからないプロセスを始動させたからだ。しかし、外国のパートナーたちとの関係に関する自国のシステムでトルコは真剣に方向転換する用意があるという印象がつくられている。特にロシアとだが、それだけではない。主な頭痛の種となっているのは、トルコとNATOの関係がどうなるのか今ははっきりしないというものだ。なお古い関係が続かないのは明白だ。これを背景にシリア(情勢)の明らかなエスカレーションがみられている。加えてウクライナ問題もある。ウクライナでもかつてのミンスクプロセス自体がもう役に立たなくなっている。すなわち、どこを見ても非常に深刻なプロセスだらけだということだ。」

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中国 外国に初の軍事基地建設
1980年代から90年代の外国での出来事は、根本的な変化として捉えられている。「冷戦時代」に存在していたグローバル・ガバナンスのモデルが見直されることはなかった。ただ互いに均衡をとる2つの超大国ではなく、米国という1国が支柱となった。期待されたのは、対立時に西側社会に役立つ構造を地球全体に拡大させることだった。しかし四半世紀を経過した今、そのような評価を疑問視することができる。最近の出来事は、質的な変化を意味している。現状は変わり、自由主義的グローバリゼーションは終わりに近づいている。ルキヤノフ氏はこのように指摘し、次のように語っている-

「例えば、EUにとっての英国市民の決定だ。これはもちろん非常に重要なマイルストーンだ。これまでEUは拡大するばかりで縮小したことはなかった。それが突然EUに対する警報シグナルが鳴り出したのだ。しかもこれが最後ではないかもしれない。トルコではクーデターが失敗した。革命ではないとしても、これは非常に深刻な衝撃だ。そしてNATOにとっては、加盟国であるトルコなどが最近あたかもNATOは存在しないかのように振舞っている。そしてこれらの出来事全てが重要な傾向を明確に示している。第二次世界大戦後から今まで世界政治が構築されていた原則や、特に冷戦後のある種の西側中心主義だ。これは少なくとも形を変えつつある。すなわち西側は、どこからみても1991年の後に政治家たちが計画したような形にはならなかったということだ。

欧州連合各国の国旗 - Sputnik 日本
さらばEU?
現在すでに西側が別のものになる可能性が高いことが明らかとなっている。それは意図されたようなものではない。すなわちプロセスはソ連崩壊時に始動されたが、未だに続いているということだ。だがまさに今年、非常に重要なものがたくさん蓄積された。それらは今、再びグローバルな質を持つものへと変わろうとしている。これが2016年夏の主な政治的出来事の結果だ。」

アジア太平洋地域はどうだろうか?韓国領内への米国のMD(ミサイル防衛)システム配備が朝鮮半島情勢を極限まで緊迫させ、今後数年間で今当たり前となっている地政学的状況を変える決定的要因となることはないのだろうか?ルキヤノフ氏は、次のように語っている-

「私は、韓国のMD自体はあまり重要な要素ではないと考えている。重要なのは何が起こっているかだ。それは米中関係が将来的にエスカレーションする兆候が明らかに蓄積されているということだ。なお当事者たちは誰もエスカレーションを目指してはいない。口先では誰も関係悪化を望んではいない。だが出来事が進展する論理が、エスカレートする可能性へ向かわせている。この方向での深刻な出来事は、中国とフィリピンの領有権争いに関する国際仲裁裁判所の判決だ。裁判所は判決で完全にフィリピン側を支持した。この出来事が今後影響を及ぼすことに間違いない。一方で、中国が今後どのように反応するかはまだ明白ではない。」

ルキヤノフ氏は、すなわちアジア太平洋地域でも非常に重要な出来事が徐々に蓄積されているが、その性質は欧州やトルコで起こっているようなものにはまだ移行していないとの見方を示している。

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