アフリカから日本が何を望んでいるかは、会議の最後に採択された「ナイロビ宣言」を調べることによって理解することができる。海洋安全保障に関する3.3.4にはこうある。「我々は、海賊、違法漁業及びその他の海上犯罪を含む海洋安全保障に関する地域的及び国際的な取組を促進すること、及び海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映された国際法の原則に基づく、ルールを基礎とした海洋秩序を維持することの重要性を強調する」。
そして、もちろん、宣言でも会議の過程でも、最も注目されたのは、アフリカの開発についてだ。3.1.2には「アフリカの国及び人々の雇用創出や技術・ノウハウ移転及び能力強化に繋がる質の高いインフラへの投資を推進する」とうたわれている。
南および東シナ海で中国と日本の緊張が強まっており、日本が中国の活発な活動を懸念していることにより、海上航行の自由についても注目された。この問題への日本の「個人的な」関心については、日本のメディアも認識している。
国連安全保障理事会の改革の必要性についての条項も驚くべきことではなかった。日本は、当時の外務大臣河野洋平氏が1994年に最初にその希望を述べて以来、定期的に安全保障理事会の常任理事国になる願いを表明している。そして、成長し、輸出に開かれているアフリカ市場で、よりシェアを増やしたい日本の狙いも非常に分かりやすい。しかし、これらの目標を達成する日本にとっての見込みはどのくらい大きいのか?
まず第一に、日本は中国からアフリカを「又買い」しなければならない。正確にTICADの1ヶ月前、中国は独自の中国-アフリカフォーラム(中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC))を開催した。 7月28日の閉幕時には直接投資の形で148億ドルにのぼる61の協定が締結された。中華人民共和国海関総署によると、中国は過去15年間でアフリカの主要な貿易相手国となっている。ジャパンタイムズによると、2015年、日本とアフリカ諸国間の貿易の売上高は240億。一方の中国は1664億ドルに上っていた。
「日本はアフリカ市場に大幅に遅刻した。中国の積極的進出だけではない。アフリカは日本と仕事をすることに関して、単に多くの経験がなく、そして意欲も持っていないのだ。中国は今、アフリカ諸国の主要なインフラ、農業、金融プロジェクトを担い、人材育成も行っている。しかし、日本は他の分野で相当できることが多い。技術やハイテク農業などだ」
国連安保理改革、すなわち日本の常任理事国入りをアフリカ諸国が支援することについては、法的観点からは、日本は何も変更することができない。 193国連加盟国中、54カ国、すなわち30%がアフリカ大陸に位置している。しかし、たとえ安全保障理事会の新常任理事国に例えば日本を加えることにそのすべてが無条件支援を行ったとて、安全保障理事会常任理事国の一つ、例えば中国がこの決議に拒否権を用いれば、それを取り消すことはできない。しかし、専門家は、総会での投票の際、日本がこのような方法で過半数の賛成票を取り付けられるかどうかさえ疑わしいという。
「米国が国連を自分の味方にしようとしたとき、彼らは非常に積極的にラテンアメリカと協力し、自分側に大多数の国を引き寄せようとした。今日本は、アフリカと一緒にこのシナリオを繰り返そうとしている。しかし、中国はアフリカで相当うまくやった。ほとんどのアフリカ諸国はやはり中国を支持すると思う」
アフリカというゲームにおける大きな目標の一つの中で、日本が達成できそうなのはたった一つ。すでに80年代、さらには90年代に日本経済を救った実績のある、海外への活発な投資家の進出で景気低迷を向上させることのみだ。