この時期ウラジオストクでは プーチン大統領と安倍首相、韓国の朴大統領とのそれぞれの2者会談に向けた最後の詰めの作業が行なわれている。日本からは北海道、鳥取、富山の3県から知事も現地入りする。東方経済フォーラムはアジア方面でのロシアの外交政策の成功度を測る一種のインジケーターの役割を果たしている。日本と韓国はある時期まではロシアのいう「東方転換」に懐疑的なまなざしを投げかけていた。だが露中協力の成し遂げた経済の達成はこの2国をかなり活性化させた。これをモスクワ・カーネギーセンター、アジアプログラムのトップ、アレクサンドル・ガブエフ氏は「現時点では最もおいしい分け前を見ると、中国人は全部には預かっていない」と評している。
全体から見ると日本はロシアとの関係正常化路線を選択し、安倍氏も東方経済フォーラムを自身の新たな政策をアピールする場として利用している。その新たな政策とは5月6日のソチ非公式訪問で示されたものだ。この時安倍首相は協力の8つの方向性を打ち出したが、これには極東のインフラ発展を含めた日本の資本参加が提案されていた。東方経済フォーラム開催まで数ヶ月間をかけ、極東発展省はそれへの返答として日本の投資に最も合目的的なプロジェクトのリストを作成した。フォーラムで日本側はこのリストに対する前提的な評価を出すものと期待されている。
「アジア太平洋地域におけるエネルギー協力、橋を架ける」と題されたセッションではアジアエネルギーリング・プロジェクトが話し合われる。これはロシア、中国、モンゴル、韓国、日本をひとつにまとめるものとなるとされている。今年3月末北京で「ロスセチ」社と日本のソフトバンク・グループ、韓国電力公社、中国の国家電網の代表らは北東アジアを網羅する電気エネルギーシステムの相互連携を合同で推進するメモランダムに調印している。このプロジェクトは実現化までは長い道のりになるかもしれない。なぜならアジアは欧州とは異なり、こうした経験を有していないからだ。それでも電力網をつなぐという構想は実際画期的なものだ。日本にはアジアエネルギーリング構想、サハリン-日本エネルギーブリッジ構想に対しては熱心な支持者も反対者も存在する。その両方ともが主張の正しさを証明する多量の論拠を挙げている。ロシアエネルギー省のイニュツィン次官は、この問題で大事なのは経済的な合目的性の試算との見解を表している。