政治の一方で日本の実業家らはこれまでも定期的にキューバを訪問していた。今年6月にはキューバ商工会議所とジェトロが主催のセミナーに60人の日本人ビジネスマンがハバナに集まり、輸送、エネルギー、投資、医療、農業といった分野における協力の問題を話し合った。日本人の間で特に興味が持たれているのは、キューバの経済特区「マリエル」で、これはキューバで外国投資に関する法律が採択されて後、特に魅力的になってきている。
日本の実業界はキューバとの経済協力について良好な見通しを持っているが、ここで同地域への旺盛な進出を進める中国の存在に何らかの形でぶつかることは必至である、と世界経済国際関係研究所アジア太平洋研究センターのクリスティーナ・ヴォダ氏は述べた。
「キューバへの安倍氏の訪問はいくつかの理由のため、日本にとって重要だ。第一に、それはグローバル外交という安倍氏が2012年末に掲げた進路の継続だ。安倍氏は歴代首相の誰より多数の海外遊説を行っており、今回の訪問もアクティブで強力な政治家というイメージに貢献する。第二に、長らく日本の実業界の傾注の外に置かれていたキューバへの関心を実業界は表現する必要性がある。まだキューバの市場は発展しているとはいえず、この市場が日本の自動車、工作機械、産業機器、家電製品など、長らくキューバが不足していたようなすべての商品のメーカーにとって非常に興味深いものになる可能性がある。そして、もちろん、ツアーオペレーターにとって新たな市場となる。
クリスティーナ・ヴォダ氏によると、ラテンアメリカにおけるアジアの経済大国の優劣は、重要性でいうと、中国が有利に傾いている。「過去10年間で世界経済への伸張を強めてきた北京は中南米諸国との経済協力の量を増加させ、キューバを含め、それらのほとんどにとって最大の融資国および貿易相手となっている。原材料の仕入先の多角化という課題と同時に、北京は地域のインフラの近代化への中国の投資の増大も行っている。そのような形で成長と中国の影響増大とが相互に関連している。日本は中南米諸国との相互関係について量の面では中国に劣っているが、ひけをとる意向にはない」と専門家。
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