雑誌「エクスペルト」金融アナリストのアンナ・コロリョワ氏によると、今、訴訟ブームというものがあり、それを決定するのは経済危機だという。
「今、ほとんどの国の政府が、実業界から税金、罰金、その他あらゆる形態の支払いにより、搾れるだけ搾るようになった。近年では、特にサブプライムローン危機の後、各国の当局は、大企業に一連の調査を行った。格付機関を含めてだ。そして、それに続く紛争調停プロセスにおいて、企業は自らの評判と財政に莫大な損失を出さないようにと、多量のお金を支払った。こう言うと事態を粗雑に解釈しているように見えるかもしれないが、私は、これで当局が味をしめたのだと思う。彼らは、実業界には税金を課すだけでなく、捜査によって言うことを聞かせることもできるのだということに気づいた。そして、大企業は、より頻繁に、問題を解決するために大量のお金を支払うようになった。既に述べたように、各国が社会的なプロジェクトのため、移民危機の解決のためになど本当に予算が不足している危機的現状においてそれが進んでいることには重大性がある。捜査というのは悪くない資金源になるのである。司法機械の遅さが印象的ではあるが。何しろそれは膨大な数の調停・法的命令を考慮し、膨大な数の様々な判例に順ずる必要がある。そのため、ヨーロッパでは審理プロセスは非常に長い時間がかかり、時には数年間も続く。多国籍企業は独自の弁護士を持っており、彼らも数ヶ月間も書類を精査し、決定に抗議をしなければならない」
にもかかわらず、GoogleやAppleのような米国の巨大企業も訴訟を免れなかった。これを米国の金融部門における不公正なゲームのルールに対する欧州の抗議としてみなすことはできるか?
この理由により環大西洋貿易投資パートナーシップ協定がワシントンの目論見通り年内に調印されるかどうか、そもそも近い将来にそれが可能かどうか、最近の交渉ラウンドの結果をみると疑わしくなっている。そういわせる主要な根拠を提供するのがドイツのメディアによる秘密文書の公開だ。
スプートニクはまたマスターカードのロシア代表部に状況についてコメントを求め、次の回答を得た。
「当社の弁護士が詳細に訴訟の内容を調査しているため、現時点では、この問題についてコメントすることはできない。我々は強く訴訟の根拠に不同意であり、積極的に自らの立場を守る意向だ。マスターカードは顧客に安全で便利な解決を提供し、彼らの権利を保護している。そして、我々は、消費者の急速に変化するニーズを満たすように、私たちの決済サービスへの投資を継続していく」
なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。