同社は124もの本格的なテストを行った。一方のオランダ側は主にコンピューターシミュレーションデータに大きく依拠した。発射装置の露国境から発射地に至る推定経路はインターネット上のビデオや写真にもとづき同定された。このようなアプローチは奇妙であり、調査には疑いがある、と専門家ら。
またオランダの研究者らはミサイルの弾頭部の実際の技術的データを考慮に入れていない。ロシアはあえてそのパラメータの機密解除を行っているにもかかわらず。逆に調査チームは、ミサイルの最も重要な特徴においてロシア産品の技術文書とは一致しない米国の教本からの情報に依拠している。
「アルマズ・アンテイ」の主任設計士ミハイル・マルィシェフスキイ氏が語った。
「おそらく何らかの点で「アルマズ・アンテイ」の案は国際委員会にとって適切ではなく、ゆえにオランダのエレナー研究所は米国の教本からデータをとった。そして後部爆破型円筒弾頭が基礎に用いられた。しかしブークミサイルの全タイプにおいては腎臓形の弾頭が使用されている。そして、雷管は正面から拡がっている。これが自動的に性能を変える」。
大きな疑問を呼ぶもう一つの重要な要因は、爆発点から飛行機までの距離。「アルマズ・アンテイ」によれば、オランダの専門家らは最終報告書の中では、それは調査の中で検討された数字と異なっている。しかも差し替えは最後になって行われた。まるでデータが特に事前に知られていた答えに特に替えられたようだ。
「変化など全くあり得ないような特性が変わった。左側では技術的な報告書案からの抜き書きが示され、そこでは白地に黒で、ボーイングの残骸には300もの損傷が発見された、と書かれた。未回収のそれを含めればそれは600にもなろう。損傷の最大密度は1平方米あたり80の穴に相当する。これは4メートルの距離で爆破した場合のブークの技術特性と正確に合致する。4メートルというのは真実であるとは思われないことが明らかになったとき、それは2メートル移動した。そして、この報告書では、既に穴は350未回収断片を考慮に入れれば800と書かれている。密度は250穴に増加した」とミハイル・マルィシェフスキイ氏。
一方、これらのパラメータは全て、ミサイル発射地の決定に重要だ。そして、この点にもうひとつ重大な相違がある。国際委員会は、ミサイルは蜂起軍の支配下にある、事件のポイントに対して東側から発射されたと主張している。地対空部隊の駐屯地と考えられる居住区はスネージノエとペルヴォマイスコエであると名指しもされている。一方今週ロストフ州無線測位複合体が公開したデータでは、そのような説は完全に排除される。そしてロシアの軍事コンツェルン「アルマズ・アンテイ」の実験データは、ウクライナ軍の管理下にあった反対側から発射された、と指示している。
「数多くの実験やシミュレーションの後、我々は完全に自説を確認した。すなわち、ロケットの到来とその接触の条件は、水平面内で72度の角度に相当する。これにより我々は南ザロシチェンスコエ地区からミサイルが発射されたというのが最も考えられる説であると確信した」とミハイル・マルィシェフスキイ氏。
これらの事実を考えると報告書は少なくとも説得力がないように見える。
国際調査チームはマレーシアのボーイング機を撃墜したミサイルの正確な型の特定に困窮している。コンツェルン「アルマズ・アンテイ」によれば、それはモデル9M38であることを確認した。ロシア軍にそのようなミサイルはない。2005年時点でウクライナはこのタイプのミサイルを約500有していた。しかし5カ国の研究者らは飛行機がウクライナの地対空兵器によって撃墜された理論的可能性さえ検討しなかった。ブークの製造元であるコンツェルン「アルマズ・アンテイ」が行い、その結果をほぼ一年前に報告したフルスケールの実験は言及もされなかった。もしかしたらロシアの専門家らがおそらくボーイングはウクライナのミサイルに撃墜されたと証明したからかもしれない。それをミサイル発射点も機体の損傷の性格もしめしている。
なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。