カダフィ大佐の死は司法で出された死刑判決によるものではなく、刑事犯罪の殺人だった。ロシア外務省外交アカデミー、国際問題研究所、ユーラシア調査センターのオレグ・ペレスィプキン所長は、この犯罪がいつの日か捜査され、明らかにされることはまずありえないとの見方を示している。ペレスィプキン所長は1980年代後半、駐リビア・ソ連特別全権大使として勤務した経験を持っている。
「カダフィ大佐を殺害した張本人は簡単には見つからない。襲った集団は大佐を野蛮に懲罰したため、これを行った具体的な執行者を見つけ出すことは全く不可能だ。仮にその者らが見つかったとしてもこれを裁判にかけるものはいないだろう。」
ロシアリビア・シリア国民との連帯委員会のセルゲイ・バブリン委員長は次のように語っている。
「反体制派はトリポリもスルトも一切解放してはいない。これは西側に金で雇われた傭兵だった。カダフィ大佐はNATOの特殊作戦の結果、拘束され、その後身柄は集団から集団へと何度も売り買いされた。集団間には殺害の権利をめぐる抗争があった。真実を知るには長い時間がかかるだろうが、それでもいつの日かそれは世界に明かされるだろう。」バブリン委員長は「カダフィ大佐が現代の偉大な活動家の列に加えられる日は必ず来る」と確信を示した。
「様々な情報源によればカダフィ氏は欧米に1800億ドル分の有価証券を保管していた。当然のことながら今、この金はおびただしい数の施設、不動産と同様、すべて押収されている。」
モスクワ国際関係大学文明パートナーセンターのユーリー・ジニン上級研究員は「アラブの春」の結果はリビアには重い傷として残り、その傷はリビア国民にくまなく行き渡ってしまったとの見方を示している。
「リビアは統一、秩序、安定を失った。全国選挙で選ばれた議員の議会、マスコミの自由は得たが、結果として議会は2つに割れ、マスコミも互いに対立する勢力に加担する複数の集団に分裂してしまった。一番恐ろしいのは種族間の反目が政治化され、地方勢力が常時敵対しているために国内が半分戦争の状態に引きずり込まれており、ここからどうしても脱却できないことだ。」