マスクでお見合い―流行か、それとも伴侶を見つける究極の方法か?

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伴侶を見つけるために若い日本人に足りない物とは何か。時間か、意欲か、勇気か?厚生労働省によれば30年で成婚件数は半減。25-39歳で家族をもつことを望みながらそれをしなかった人の半数がその理由を「ふさわしい相手を見つけられなかったから」としている。仕事に時間をとられ過ぎ、異性を前に恥ずかしがってうまく話せない、との回答が多い。

忙しくて恥ずかしがりの人たちに、DEF ANNIVERSARY社が風変わりな交流形態、その名も「マスクde お見合い」を 運営している。若者同士が知り合いになれない主因に、もっともなことではあるが、まずは外見に注目し、それでしばしば誤った印象を抱いてしまうことがあるという。「マスクdeお見合いが目指すのは、「内面重視」の婚活スタイル。マスクを着用することで、顔の半分が隠れるため、外見での判断材料が少なくなり、 自然と内面重視になることを狙っています。また、顔の一部分を隠すことで、オープンに話せる、という心理的効果もあります。」サイトではこのように理念が語られている。スプートニクは同社の松村代表にインタビューを行った。

「この婚活サービスは2010年、日本の人気お笑い芸人田村淳さんが考案したものです。マスクをつけてお見合いすれば恥ずかしくなく、勇気を出して異性と話せるのではないか、という考えから、この年はじめて実施されました。参加人数は会場によって変わりますが、チケットは毎回完売です。先に女性のチケットが売り切れる傾向があります。チケット購入者には条件を設けます。20代から30代で限定することが多いです。それが一般的ですが、40代・50代向けのイベントもあります。イベントの流れは、一番最初に司会者から簡単なセミナーをしていただきます。恋愛のテクニックをお話していた頂きます。次にくじ引きを行います。それでマッチングを行い、まず一対一で話す。次は、くじ引きをし直して、三回ほど組み合わせをかえ、一対一で話し合いをします。最近人気のあるのは、日本全国にあるイオンモールが会場となって実施されるマスクdeお見合いイオンモール編です。これまでのイベントに参加した方は、延べ4300人でカップルは実際にたくさん出来ています。結婚して子供ができた方もいます。SNSなどを通じて、少しずつ有名になっています。最近は月一度の開催です。現代の日本の若者はデジタル世代で、面と向かっての直接的な交流に抵抗があります。マスクで顔の半分を隠すことで勇気を出せる、話しやすくなる。ふだん言えないことも言えるようになる。マスクというシンプルな道具によって心理的にサポートできると考えています。今の時代にあった婚活サービスと思っています。」

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ロシアでこのような企画があったら、人気を博するだろうか?日本ではマスクをしている人はふつうに見かけることができます。それも、特に風邪のシーズンでなくてもだ。同社の松村代表によると、マスクをして歩くことは一種の流行になっている。ロシアでも感染症のピーク時にはマスクが着用されるが、現時点ではまだ非常に数が少ない。最初の出会いにマスクをしていくなど考えられないことだ。

スプートニクのアントン・シチコフ解説委員は、マスクを着用してのデートについて次のようにコメントしている。

「今日、大部分のロシアの若者にとって、異性と知り合うことは、大変な労力がいる、というものではない。なので、その目的のために、出会いのプロセスを幾分容易にしてくれる策略をめぐらす必要はない。しかしモスクワやサンクトぺテルブルグといった大都市では、あまりの忙しさや、ソーシャルメディアの乱用によって、異性との出会いが困難になっている若者の数が増えていることにも、気付かないわけにはいかない。

それにしたところで、マスクをつけての婚活は、私の目からすれば、問題の解決にはならない。なぜかといえば大変答えはシンプルで、ただ単にロシアではマスクというものをする機会が日本よりもずっと少ないからだ。そういうデートはすごく奇妙なものに映るだろう。ロシアでは、すでにモスクワでポピュラーになりつつある、スピード・デーティング(男女が集まり、数分間ずつ会話したら順々に席を替わり、お見合いするシステム)が助けになるかもしれない。とてもシャイな人にとっては、マスクを着用した上で、何かテーマを決めた「○○の夕べ」のようなものに参加するのがよいかもしれない。でもそれは医療用のマスクではなくて、例えば、仮面舞踏会に使うようなマスクだ。モスクワにも、どうやらそういう夕べがあると聞いている。しかし今のところ幸いにも、そういうイベントは楽しみのためのお遊びであり、人生のパートナーを見つけるための唯一の方法というわけではない。」

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また、徳山あすか記者は次のように言う。

「ロシアで同種のサービスが広まらないのは、ロシア人と日本人の俗に言うコミュ力と自己アピール力の違いによるものだと思う。ロシアで生きていると日々の生活でコミュニケーション能力を要求されるので、知らない人と接する能力が自然と培われ、男女とも物怖じせず異性にアプローチできるのかもしれない。また、ロシア人は外見を磨くことも含めて自分をアピールするのが上手いので、マスクで顔を隠してしまうと自分の魅力が半減したような気持ちになるだろう。そしてまたその自信によって、本当にその人はさらに魅力的になるという好循環だ。私自身は、顔を隠すコミュニケーションは大いに理解できるし、外見に余計な気を回さず、会話に集中できるのは良いことだと思う。」

そしてやはり日本と違いロシアでは知り合いになることと結婚することについて問題がない。離婚の問題はある。互いに外見を気に入った男女が相手の心を覗き込まなかったと言うことも大いにあり得る。しかし人間にとって一番大切なのは外見でなく心と内面世界だ。

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