トランプ氏の勝利は世界市場のパニックを引き起こした

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世界の金融市場で今年2度目の「ブラック・スワン」が起こった。1度目は、英国のEU離脱をめぐる国民投票の後だった。ほぼ全ての世論調査が、クリントン氏の勝利は約束されていると断言していたが、米国の有権者は別の決断を下した。

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世界市場は、トランプ氏の「好成績」を予期しておらず、最初はネガティブな反応を示した。ダウ工業株30種平均の先物は4.4%下落し、2011年9月の米同時多発テロ事件後の下げ幅を上回った。日経平均株価は5.36%、香港ハンセン株価指数とドイツおよびフランスの主要株式指数は3%、中国の上海総合指数は0.8%、韓国総合株価指数 は2.9%下落した。

市場参加者は、米国の新大統領の政策が経済的およびグローバルな不透明感を引きこすのではないかと危惧している。移民に反対し、メキシコとの国境に壁を建設することを約束したトランプ氏の発言に最も敏感に反応したメキシコの通貨ペソをみれば、その驚きの大きさが分かる。ペソは、過去10年間で前例のない水準まで下がった。アジアの為替市場では米ドルに対する円とユーロがそれぞれ3.4%、2.5%と著しく上昇した。原油価格、ロシア通貨ルーブル、ロシアの株価指数は下落した。事実上、世界市場はトランプ氏の勝利を予測していなかった。最初の反応はパニックを彷彿させた。投資家らは、株や新興国通貨を売り、金、国債、円などの「安全資産」に逃げている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア投資ストラテジストの藤戸則弘氏は、投資家たちはリスクから逃れることを必要とする予期せぬ状況に直面したと指摘している。

プーチン大統領がトランプ氏に大統領選勝利の祝電、クレムリン - Sputnik 日本
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多くの人が、外交政策で保護主義に賭けるというトランプ氏の約束が、中国との貿易戦争のスパイラルを引き起こし、世界的な経済成長を損ねるのではないかと不安を抱いている。またトランプ氏が過去の全ての米大統領よりも孤立した政策を行った場合も、負の効果が影響を及ぼす恐れがある。

国家戦略研究所のニキータ・クリチェフスキー氏は、「全体として米大統領選は、有権者が、過去10年間で世界の基本となった貿易障壁を取り除く路線を含む、政治・経済的現状を拒否したことを示した」との考えを表し、次のように語っている-

「米国は、とてつもない社会階層、何千万人もの米国人の幸福を投機家のゲームに依存させた『両替屋』とウォール街の試みに反対票を投じた。また米国は、生産拠点が海外へ移り、その所有者が外国で得た利益に対して課される税金の支払いを免除され、国民は職を失い取り残される経済モデルに反対票を投じた。また米国は、一般的な生活を送る人々の安定した生活が、第三国の政治・経済的成り行きに直接比例する外の世界への経済的依存にも反対票を投じた。」

今後の市場の反応や動向の予測を請け負った経済学者は誰もいない。なぜなら新大統領の政権がどのようなものになるのか、どのような方針をとるのかがはっきりしないからだ。一方で大勢の人が、市場のボラティリティは少なくとも2週間は続くとの見方を示している。

米国では12月19日に選挙人による形式的な投票が行われ、2017年1月6日に連邦議会で開票、結果が確定される。そして新大統領の就任式は、1月20日に行われる。

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