また日本政府は、ビザなし交流の枠組みは除いて、日本国民による南クリル訪問も禁止していた。なお日本人は、今年で24年目を迎えたビザなし交流で、合意によって定められた定員数に従い、南クリル諸島を訪問する権利を有している。逆もまた同じだ。このような象徴的な形で日本は南クリルに対する自国の主権を強調した。しかし今、日本は同国企業に積極的な事業展開や、ロシアのプロジェクトへの投資を恐れないよう呼びかけている。そして今年春に安倍首相が提案したロシアとの経済協力プランが、南クリルも含め、徐々に形になり始めた。
桜田義孝議員は、今年クナシリ島をビザなし訪問した際に、南クリル管区のワシーリー・ソロムコ市長に、養鶏場の建設で豊富な経験を持つ、ある日本企業との協力関係の確立を提案した。Sakhalin.Infoによると、ソロムコ氏は、「これは考え抜かれた行動だと確信している。我々の隣人について私が知っている限り、彼らは仕事では常に慎重に行動する。一方でこのような協力は第二次世界大戦終結から70年が経過してから初めて提案された。今は共同活動の条件を検討しなければならない」と語った。
「極東開発コーポレーション」のイワン・ジグノフ氏は、次のような見解を表している-
「ロシアに対する日本の政策の大きな転換や、一連の問題に関する厳しい立場の軟化は、もちろん平和条約問題の解決で突破口を開くためのものだ。しかし、これにはもちろん、極東のマクロ地域開発を目的としたロシア政府のイニシアチブが貢献した。先行発展領域(TOR)、ウラジオストク自由港、極東連邦管区での投資プロジェクト支援などの相互関係の活性化は、新たな開発手段となる。これらのお陰で極東に185億ドル以上の直接投資が引き込まれた。うち10億ドルは日本からの直接投資だ。現在まで日本当局の厳しい立場が、互恵的な経済関係や、平和条約締結を含む二国間関係の建設的な対話を促進したことは決してなかった。どうやら変える必要があることが理解されたようだ。双方からの集中的な作業プロセスは、すでに進んでいる。」
アレクサンドル・ガルシカ極東開発相によると、これは極東における露日の実りある協力の始まりにすぎない。