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ロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのクジメンコフ上級研究員いわく、露日間で外交官、政治家らのコンタクトが活発化したのは安倍首相がクリル問題をこれで完全に解決してしまいたいと思っている証拠。
安倍氏のようにロシアとの関係にこれだけ関心を持つ首相は以後でないだろう。クジメンコフ氏は安倍首相が先ごろ国会で自分は領土問題を解決すると表した声明をとりあげ、日本の首相たる人物がプーチン氏と外交関係が実りをもたらす兆候もなくこうした勇気ある声明は表さないと指摘する。
クジメンコフ氏は露日の健全な政治思考が、米国が勝手に自分のプレーを行い、中国はあまりに活発に軍事力をアピールし、北朝鮮の政策もますます予見不可能なものとなりつつあるこの北東アジアにおいて安定したパワーバランスを確立するために広範な政治、経済のコンタクトの樹立の必要性をとらえていることは火を見るより明らかと指摘している。
(ロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのヴィクトル・クジメンコフ上級研究員へのインタビュー、11月10日、スプートニク)
世耕経済産業大臣自身は11年にわたってロシアの公式人とのコンタクト拡大に最大限尽力してきており、これまで14回にわたるプーチン・安倍首相会談の全てに同席。
露日間経済協力の推進のために高いレベルの作業グループが組織。その最初の会議も全ての省の次官全員を出席させて行われたが、このことは閣僚らが全員、安倍首相がどれだけ真摯な気持ちでロシアとの経済協力を推し進めるつもりかを理解している証拠と世耕氏は語る。
経団連のメンバーの中ではロシアでのビジネス経験を有する企業は少ない。だが今回は全員が両首脳が信頼関係を築いたことを理解しており、サクセスのために政治の支援への期待が大きい。
世耕経済産業大臣は11年もの間、訪日しなかったプーチン大統領が日本に来る、しかも会談場所は安倍氏の母方の郷里の山口県。日本の政治史上、首相が誰かを自宅に呼ぶことなどなかった。このことから安倍氏がどれだけ胸襟を開いてプーチン氏を迎え入れようとしているかは一目瞭然と語る。
(世耕経済産業大臣へのインタビュー「安倍首相は胸襟を開いてプーチン大統領を待っている」コメルサント紙、11月7日、M・コロスチコフ記者)
谷内安全保障局長、パトルシェフ安全保障会議書記の会談は非公開
谷内安全保障局長とパトルシェフ安全保障会議書記の会談では地域、国際安全保障問題を検討。特にアジア太平洋地域の挑戦、脅威、露日間の安全保障分野での協力に焦点。
谷内氏の公式訪問について日本側がロシアに通達したのは訪問の前日。それまで日本のマスコミは数度にわたって、内閣が安倍氏の最も信頼する側近のひとりである谷内氏のロシア訪問の噂を否定してきたと報じていた。
両者の会談は外務省、国防省の代表者、安全保障会議の職員の参加の元に非公開で行われたが、プロトコルの撮影さえプレスは許可されなかった。ロシア側はこうした非公開について日本側の要請によるものと説明している。
(「ロシア新聞」イヴァン・エゴロフ記者、11月9日 )
日本の研究者の間で永久凍土への関心が高まっていることをうけ、サハ(ヤクート)共和国への訪問が増えている。三重大学の飯島 慈裕助教授もそのひとり。2003年から露日合同の地球気候変動調査に参加し年間2-3回はヤクートの小さな村「チュラプチャ」を訪問。超近代的な人工衛星も実際に変化が生じている地球の表面で行う調査にはかなわないと断言。
なぜ日本の研究者らは永久凍土にこんなに深い関心を寄せるのか。日本ではシベリアという広大な領域でとくに興味深い自然プロセスが進んでおり、これが世界全体に相互に影響を与え合っているととらえられている。そういう意味で飯島氏はシベリアを地球の気候を作り出す一種のキッチンのようなものと例えている。
調査研究に西側の対露制裁が影響したかとの問いには飯島氏は否定的な影響を受けたと答えながらも、科学は政治の外にあるべきものであり、日本は経済制裁には加わらず、またロシア人、日本人研究者間の学研交流は十分活発に拡大していると指摘した。
(ヤクート新聞、11月11日、三重大学生物資源学研究科飯島 慈裕助教授へのインタビュー、フョードル・グリゴリエフ記者)