日本人監督、ロシアでミステリースリラー撮った理由をスプートニクに語る (写真、動画)

© 写真 : Masaki Inoue映画「レミニセンティア」のワンシーン
映画「レミニセンティア」のワンシーン - Sputnik 日本
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日本の映画監督、井上雅貴氏のデビュー作「レミニセンティア」が、11月12日―25日まで渋谷の映画館ユーロスペースで上映されている。ロシア人俳優が出演する同作品は、日本語の字幕付き上映だ。

井上監督は2000年代初めにロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画「太陽」の撮影に参加する機会を得て、撮影のためロシアに3カ月滞在した。「太陽」は日本の天皇を描いた作品。井上監督はロシアに滞在した3か月の印象を「レミニセンティア」に反映させた。

同作品が観客の「裁きを受ける」のは初めてだが、「レミニセンティア」はすでにロサンゼルスシネマフェスティバル・オブ・ハリウッドで主要部門を受賞、日本では新人監督映画祭の長編グランプリを受賞している。
「レミニセンティア」は、ミステリアスな要素とSFの要素を持つ心理的ドラマだ。主人公のミハイルは小説家で、娘のミラーニャと一緒に暮らしている。ミハイルは、人々の不快な記憶を「消す」という不思議な能力を持っている。彼は自分のもとを訪れた人々が語るストーリーを基に小説を書いている。しかしある時、父親と娘の静かで規則正しい生活の中で奇妙な現象が起こり始める…

井上監督は「スプートニク」に、ロシアの古都ヤロスラヴリでロシア人俳優が出演する映画を撮影することになったきっかけについて語ってくださった-

「きっかけは、アレクサンドル・ソクーロフさんの『太陽』という映画にスタッフとして参加してロシアの映画のつくり方を目の当たりにして、ロシアで映画を撮ってみたいなと思ったのが11年くらい前の話しです。3年前にヤロスラヴリで撮影して、編集に1年半かかって、その後ハリウッドの映画祭と日本の映画祭で長編グランプリをいただきました。完成したのは昨年の9月です。ストーリーはオリジナルで、自分で書いたものです。日本からロシアに撮影に行くので予算たくさんがかかるので元々ある小説とかを題材にするとどうしても映画としてお金がたくさんかかってしまうので、映画を制作するために自分たちにできる状況の中でオリジナルの脚本をつくったという感じです。記憶というものをテーマにしていますが、もともと映画と記憶いうのは相性がいいので題材として選びました。記憶というのは時間と共に蓄積されるもので、映画というのは時間を扱える芸術というか表現方法なので、すごく相性がいいんです。それでどうしても記憶というものをテーマに映画をつくりたかったというのがもともとあって、そこから表現を膨らませてストーリーをつくりました。」

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© 写真 : Masaki Inoue日本の映画監督、井上雅貴氏、家族と
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日本の映画監督、井上雅貴氏、家族と
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日本の映画監督、井上雅貴氏、家族と
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日本の映画監督、井上雅貴氏

主演は、ヤロスラヴリにあるドブルィニン名称文化会館・青年ドラマ劇場の舞台監督で責任者のアレクサンダー・ツィルコフ。出演しているロシア人俳優は全員、ツィルコフ氏の同僚と弟子たちだ。なお娘のミラーニャ役を演じたのは井上美麗奈(イノウエ・ミレナ)ちゃん。井上監督は、井上美麗奈ちゃんについて次のように語っている-

「私とプロデューサーのイリーナの娘です。というのは、5歳くらいの子供なので、他の子役をお願いすると演出としてすごく大変になってしまうというのがあり、もちろん5歳なので言うことを聞かなかったり、機嫌が悪くなったりするので、小さな映画だと本来子供というのは使いにくいんですけど、自分たちの子供であれば、どういうことを考えているとか、機嫌が今どういう状態かとかすごく分かるので、非常に演技の演出がしやすいというのがあって、自分たちの子供に出てもらいました。非常に上手に演技をしてくれて、映画の中でも非常に重要な役柄になっているので、非常に満足しています。妻のイリーナが全部プロデュースしてくれたので、もちろん一番信頼している人間なので、すごく安心して映画をつくれました。ロシアの俳優さんはもともとレベルが高いというか、クオリティーが高く、ちゃんと演技の勉強をされている人たちで、すごく信頼できるというか、あまり演出がなくても彼らだけで芝居をちゃんとつくってくれるので、大変だったことはないです。」

映画では、歴史ある古い町であり、工業都市でもあるヤロスラヴリの風景が見え隠れする。古都ヤロスラヴリはソ連時代、工業化の最先端にあった。また映画には、ヤロスラヴリ州にある宇宙記念館も出てくる。そこは世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ•テレシコワの生家だ。井上監督は、さらに次のように語ってくださった-

「ヤロスラヴリはすごくきれいな歴史的な場所でもあるし、あとやはり日本人があまり見たことのない旧ソ連のマンションとか工場とかちょっと変わった街並みも残っているし、あとなにより人が皆さん温かくて、優しいというか、都会のモスクワとかのような感じではなくて、もうちょっとゆったりしている感じがあるので非常にいい町だと思います。日本の人はロシアのことをあまりよく分かっていないところもあるので、こういう映画を通じて、ロシアに興味を持ってもらえたら嬉しいなと思います。」

プロデューサーで井上監督の妻でもある井上イリーナさんは、祖国ロシアでの映画上映を夢見ている。もしかしたら来年、「レミニセンティア」がたくさんあるロシア映画祭の一つで上映されるかもしれない。

 

 

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