オバマ大統領と、旧日本軍の攻撃で沈没した米戦艦の上に立つ「アリゾナ記念館」を訪れ犠牲者を慰霊。来年1月に退任するオバマ氏と最後の会談も行い、同盟強化を確認する。かつて戦火を交えた両国が和解した姿を発信し、日米が「アジア太平洋地域の平和と安定を主導していく」(日本政府関係者)意向を打ち出す。
現職首相の真珠湾訪問としては、1951年の吉田茂首相の例がある。外務省によると当時、記念館は建設されていなかったため、記念館訪問は初めてになる。トランプ次期政権発足を見据え、日米の強固な絆の継承を促す狙いもある。
首相は、オバマ氏とアリゾナ記念館を訪れ、所感を述べる予定で、不戦の決意を表明するとみられる。2015年4月の米議会演説や同年8月の戦後70年談話で触れた「深い悔悟」といった表現を踏襲し、今回のスピーチでも謝罪の文言は盛り込まない見通しだ。
オバマ氏は今年5月、米大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、平和記念公園の原爆慰霊碑へ献花した。先の大戦で日米開戦の舞台となった真珠湾での慰霊は、オバマ氏の広島訪問に対する答礼の意味もにじむ。
首相はハワイ滞在中、太平洋戦争などの戦没者が眠る国立太平洋記念墓地を訪れるほか、日系人との面会を調整。