絶品!ロシアンたこやき物語【写真・動画】

© 写真 : Sebastian Danilov本格的なたこやき
本格的なたこやき - Sputnik 日本
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ロシアでは日本食がブームになって久しいにもかかわらず、美味しいB級グルメが味わえる店は非常に少ない。そのうちのひとつはロシアで一番美しく、最もヨーロッパを思わせる街、サンクトペテルブルグにある。ここで本物のたこやきが食べられると知ったら、そのギャップにびっくりしてしまう人も多いだろう。

ロシアの永久凍土地帯で日本のトマトが栽培される - Sputnik 日本
ロシアの永久凍土地帯で日本のトマトが栽培される
ロシアに初のたこやきをもたらしたのは、大学を出て間もないセバスチャン・ダニーロフさんだ。セバスチャンさんはサンクトペテルブルグで一号店「たこやき屋台」と二号店「たこやき店」を経営しており、将来的な店舗拡大、他都市への進出も視野に入れている。

セバスチャンさんは小さいときから日本のアニメや文化に親しみ、日本が大好きだった。20歳になり、資金を貯めて念願の日本旅行に出発。自分が抱いている日本のイメージは本当に正しいのか、確かめたかったというセバスチャンさんは、「本当に驚きました。自分が想像していた日本の姿が、そっくり現実のものになっただけではなく、予想しなかった喜びや楽しみもあり、ますます日本が大好きになったのです」と話す。一ヶ月の滞在で色々な食べ物を試したが、特にたこやきが気に入り、東京でも大阪でも毎日食べていた。ぺテルブルグに戻ったとき、たこやきロスに陥ったセバスチャンさん。熟考の末、たこやき屋を自分で作ることにした。

店舗を構えるまでは山あり谷ありだった。当時セバスチャンさんは学生で、ビジネス経験もなく、ましてや食品製造の経験などゼロである。サーモロジー(熱学)を専攻していたので理系の就職先は引く手あまただったが、すべて断った。セバスチャンさんの座右の銘は、「本当に好きなことでなければ、続かない」である。

2014年の12月に初めて、新年イベントの一環で、3週間の期間限定屋台を開いた。そこには調理のための環境が一切整っておらず、毎日毎日自宅でたこやきのタネを作り、ゆでたタコなどの材料と一緒に街の端から端まで運んだ。が、通りがかった人はたこやきに見向きもしなかった。そこで手法を変え、日本に関心のある人々のグループに宣伝をしたところ、彼らはたこやき目当てにわざわざ訪ねてくれ、評判が口コミで広がっていった。初出店は大赤字に終わったものの、「常設店を作ってください」という声に勇気付けられたセバスチャンさんは、活動を続けることに決めた。その後一年ほど、全国各地で開かれる期間限定イベントに出店し、日本を知らない人々にたこやきを紹介して回った。

© 写真 : Sebastian Danilov極寒の中、初めての屋台出店
極寒の中、初めての屋台出店  - Sputnik 日本
極寒の中、初めての屋台出店

2016年1月、若者が集うスポットに念願の一号店「たこやき屋台」をオープン。コンテナを改築した店は、5人も座ればいっぱいになってしまう。評判は上々で、6月の終わりには二号店「たこやき店」もオープンさせることができた。新店は一戸建てタイプの2階建てで、24人を収容可能だ。メニューは随時変わり、稲荷寿司、羊羹、オリジナルの抹茶チーズケーキなどサイドメニューも充実している。お好み焼き、わさび入りロシアンルーレットたこやき、忍者たこやきなど、新メニューの研究にも余念がない。抹茶ラテやほうじ茶ラテなど飲み物類も充実しており、ロシア人や日本人だけでなく、中国人にも大人気だ。

今でこそ安定して経営できているたこやき屋だが、ここに至るまでたくさんの苦労があった。実はセバスチャンさんは昨年の秋、たこやき屋一号店に先駆けてたいやき屋をオープンさせており、二店舗を平行して運営していた時期もあった。しかし紆余曲折の末、たいやきビジネスは手放すことになり、その後はたこやきに専念した。タコそのものがほとんどどこにも売っていないので、安定した仕入先を探さなければならなかったし、タコを食べることを怖がるロシア人のために、イカや海老の入ったたこやき(もうこの時点でたこやきではない、というツッコミは置いておいてほしい)を開発しなければいけなかった。海鮮たこやきのアソートは、一番人気のメニューだ。セバスチャンさんが目指すのは、「純日本風」だ。

セバスチャンさん「たこやきの味と質が、日本の純粋なたこやきと同等になるようにしたいのです。私たちの重要な課題は、単にたこやきが食べられる場所を作ることではなく、味や質も含めて総合的に、日本にいると感じられるような雰囲気を作ることです。店をやっていて、一番よく聞かれるのは、かつおぶしのことですね。たこやきの上でふわふわ舞うかつおぶしを見ると、ほとんどの人から『これは生きてるの?』と質問されるんです。みんな写真を撮っていますよ。」

© 写真 : Sebastian Danilov店のインテリアも日本風
店のインテリアも日本風 - Sputnik 日本
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店のインテリアも日本風
© 写真 : Sebastian Danilov日本語をあしらったロゴ
日本語をあしらったロゴ - Sputnik 日本
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日本語をあしらったロゴ
© 写真 : Sebastian Danilovセバスチャンさん(左)(Sebastian Danilov)
セバスチャンさん(左) - Sputnik 日本
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セバスチャンさん(左)(Sebastian Danilov)
© 写真 : Sebastian Danilov二号店「たこやき店」(Sebastian Danilov)
二号店「たこやき店」 - Sputnik 日本
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二号店「たこやき店」(Sebastian Danilov)
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店のインテリアも日本風
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日本語をあしらったロゴ
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セバスチャンさん(左)(Sebastian Danilov)
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二号店「たこやき店」(Sebastian Danilov)

セバスチャンさんは、ガールフレンドのクリスティーナさんを含む、日本を愛する仲間たちと協力して店を切り回している。二人は約10年前に、アニメフェスティバルのコスプレイベントで知り合ったが、長いこと連絡が途絶えていた。セバスチャンさんがたいやき屋を始めた当時、クリスティーナさんが偶然にも客として来店し、交際が始まったのだ。今ではクリスティーナさんは、仕入れの責任者でもあり、スタッフが快適に働けるように店の全てのことに気を配っている。教育大学を卒業し、英語とドイツ語の教師として働いていたクリスティーナさんだが、人生は一変した。クリスティーナさんは「まさかこうなるとは、予想もしませんでした。しかし、たこやきプロジェクトを通して働くことで、責任を感じました。お客様から感謝され、このプロジェクトを続けて、大きくしてほしいという要望を聞き、これが本当に価値のある、必要な仕事だとわかったのです」と話す。

二号店「たこやき店」では、折り紙、書道、日本の歴史などの講座やアニメ上映会も開き、日本文化に親しめるような企画を随時行っている。美味しいたこやきだけでなく、店に文化センターのような役割をもたせ、人々が集える心地よい空間を作ることが二人の目標だ。

12月19日にセバスチャンさんのたこやきプロジェクトは2周年を迎えました!動画をご覧下さい。

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