新しい予算に従って、日本の防衛省は、海上及び地上発射の対ミサイル防衛手段を強化するほか、米国との共同プロジェクトの枠内で新型迎撃ミサイル開発のためにも資金を割く意向だ。 また新世代の戦闘機F-35も購入する計画だ。それ以外に、中国が領有権を求めている東シナ海の複数の無人島防衛のために予算が割かれる。状況のモニタリング強化のため、小規模な海兵隊のような組織が作られる見込みだ。そのため米国製の水陸両用強襲車(Amphibious Assault Vehicle)11両、垂直離着陸輸送機オスプレイ4機が購入される。また防衛予算が増えたことで、南シナ海の状況に関連した情報を収集・交換する活動強化を目的として、フィリピンやベトナムに追加的に人員を派遣することも可能になるだろう。
2017年度予算では、34兆4千万円という記録的な額が、年金や医療、社会保障費として割かれる見込みである。これは、防衛費の6,3倍にあたり、歳出の3割超を占める。日本の国立がんセンターのデータによれば、国のがん対策プログラムのおかげで、がんによる死亡率が、この10年間でほぼ16%減少した。また興味深いことに、日本でカジノが合法化されたことを背景に来年度予算では、パチンコなどに対する依存症治療のための予算も 初めて割かれた。
さてロシアとの経済協力に関してだが、プロジェクト案実現に向けて、およそ35億円が見込まれている。国土交通省は、都市のインフラ発展に向けたプロジェクトに約1億円を割くことになるだろう。また農林水産省は、漁業及び食品産業における協力予算として約6億円を支出する。さらに文部科学省は、エネルギープロジェクトの実現や原子の廃炉、それに向けた協議、学生交換などに4億7千万円を割くことになる。
閣議での承認後、来年度予算案は、衆参両院での審議に回される。
グローバリゼーション・社会運動研究所経済調査センターの専門家、ワシーリイ・コルタショフ氏の意見によれば、日本の来年度予算の歳出部分の項目は、日本が直面する基本的な諸問題を反映している、とのことだ。彼は、そうした問題として、安全保障、人口動態学的不均衡、消費需要の復活、貧困との闘いなどを挙げながら、さらに次のように指摘した-
「米国やEU,そして日本自体の経済状態が容易でないにもかかわらず、今のところ市場では、まだオプチミズムが支配している。つい最近の報告書の中で、日本政府は慎重な言い方ながら、経済は穏やかな回復基調にあると指摘した。しかし今年日本は、デフレを克服できなかった。また日本は7年にわたり、公的債務を減らそうと計画したにもかかわらず、国債の発行は、歳入の三分の一を占めている。日本銀行は、景気刺激と投資奨励のため、マイナス金利を導入したが、逆の結果をもたらした。お金を口座に残しておくことは損になってしまった。現金の総額は、現在、日本史上初めて、100兆円を超えているが、これらのお金は眠ったままの状態にあり、経済に回されていない。 それ以外に、2017年は多くの新しい意外なことが起きる可能性がある。少なくとも、対日関係やTPPに対する米国のトランプ大統領の政策が、はっきりしていないからだ。また中国経済において潜在的なバランスの変化が起きるかもしれないし、原油の世界価格が大きく変動するかもしれない。」
なお日本政府は、日銀の金融緩和の効果などで、消費者物価(総合)は16年度の横ばいを脱し、1.1%上昇すると見ている。