世界最高レベルの戦闘機ミサイル 日英共同で開発実現なるか?

© REUTERS / Scott Audette世界最高レベルの戦闘機ミサイル 日英共同で開発実現なるか?
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日本と英国は、2017年中に「空対空」クラスのミサイル製造の技術的及び経済的基礎付け、共同研究を完了させる意向だ。産経新聞が伝えた。

同新聞は、次のように報道している。このJNAAM (Joint New Air-to-Air Missile〔ジョイント・ニュー・エアトゥエア・ミサイル=共同による新たな空対空ミサイル〕))と名付けられたプロジェクトは、2014年7月、国家安全保障会議(NSC)で共同研究を承認、武器輸出三原則に代わる防衛装備移転三原則に基づき、NSCが共同研究の可否を判断した初の事例で、同年11月から共同研究がスタートした。JNAAMの基礎になるのは、英国やドイツ、フランスなど欧州6カ国が共同開発した空対空ミサイル「ミーティア(Meteor)」である。「ミーティア」は高速を維持するエンジンが特長で、十分長い射程をもつが、目標への誘導能力は高くない。そのため日本は、航空自衛隊のF15戦闘機に搭載される三菱の「AAM4」の技術を組み合わせる考えだ。AAM4は、艦艇など大型装備に搭載されるレーダーを備え、目標の探知・追尾能力に優れている。こうしたコンビネーションは、世界最高レベルの「空対空」ミサイルの製造を可能にすると期待されている。

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日英の合同開発は現実のものになるのかどうかについて、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、政治学者のドミトリイ・ヴェルホトゥロフ氏に意見を聞いた。氏は、まず次のように答えた-

「2010年以降、日本は、120キロの射程を持ち、アクティブレーダー誘導システムを搭載したミサイルAAM-4Bを製造している。日本の航空自衛隊の、おそらく最大のライバルである中国人民解放軍の空軍の最新鋭ミサイルも、日本のものには劣っている。中国の空対空ミサイルTien Chien Ⅱ(天剣二)は、コンビネーション・パッシブレーダーや赤外線誘導システムを持ち、その射程は60キロだ。より最新のPL-12(霹雳-12)にしても、アクティブレーダー誘導システムを持つが、射程は70キロから100キロに過ぎない。これでは日本側にとっては脅威とはならない。

『ミーティア』について言えば、決して完全なモデルとは言えず、日本のものと大差ない。これもアクティブレーダー誘導システムを持ち、射程距離は100キロである。「ミーティア」の開発は、大変長い間続けられた。このミサイルに関するアイデアが生まれたのは1994年のことで、開発決定が下されたのは2000年、作業が始まったのは2002年だった。飛行及び射撃テストは2006年から2007年にかけて実施された。そしてやっと2016年、このミサイルは、スウェーデン空軍が装備した。フランスは2018年に、この新型ミサイルを導入する考えだ。恐らく『ミーティア』は、日本のものに対し何らかのそう大きくない利点を持つと見られるが、私の見る限り、そもそもいつ装備されるのかまだ分からない新たなミサイルの共同開発を進める意味は、なかったと思う。」

ロシアの軍事エキスパート、コンスタンチン・スィフコフ氏は「日本と英国は、米国を越えたいとの希望から、新しいミサイルを作っているのだ」と見ている。日本の自衛隊は、よく装備されているが、それらはほとんどすべて米国の技術によるものだ。イージス艦にしても然り、航空自衛隊のあらゆる戦闘機も、若干の例外はあるものの、すべては米国製だ。英国もまた、ほぼ完全に米国の技術に依存している。彼らは、1970年代終わりにすでに、自分達独自なものは完成させてしまった。これに対しスィフコフ氏は「ロシアのР-37ミサイルを超えるものは今のところ、世界に何もない」と捉えている。

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このテーマについて政治学者のヴェルホトゥロフ氏は、次のように続けた-「P-37以外に、ロシアでは現在、さらに射程距離の長い、射程400キロの空対空ミサイルКС-172の飛行実験が行われている。このミサイルは、敵の戦略爆撃機や、日本の基地に配備されている米国のBoeing E-3 Sentry あるいはBoeing E-767といったタイプの早期警戒管制機を殲滅するためのものだ。そうした事から、日英の共同プロジェクトは、すでに技術的経済的意味合いにおいて、装備を目の前にしたロシアのミサイルと比較して、もう時代遅れとなっている。そうした状況で、共同開発をどう説明すべきか? これは実際、ロシアのアプローチの観点からすれば、理解しがたい。ロシアは、軍備におけるいかなる最新兵器の主要な根拠も、それが明らかに大きな技術的優位性を持っている点、新たな戦術的可能性を開く点にあると見ているからだ。射程距離が100キロから300あるいは400キロに向上することは、ただ単に、敵の戦闘機を撃破し空中戦で勝利する可能性を得ると言うばかりではない。空中戦の指揮管理を破壊し敵の空軍全体に勝利できるという事を意味するのだ。

空軍を擁する国はどこも、戦闘条件下で制空権を変えることができるよう、自分達の技術的優位性の保証を目指している。しかし、すでにソ連時代に、ロシア空軍が到達した技術的レベルが新しさの点で抜きんでている場合、日英のミサイル共同開発が良いことかどうか、それについて語られることは、理解に苦しむものであり、疑問を呼び起こさずにはいられない。」

開発に成功した場合、日本と英国は、新しいミサイルを第五世代の戦闘機であるF-35 Lighningに用いる考えだ。しかし、共同生産については、まず合意する必要がある。そのためには、日本政府の政治決断が求められる。同政府は、こうした問題には極めて保守的であり、おまけに、開発のコストに関する問題も提起されるに違いない。

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