一方岸田外相は、日曜日、日本のあるTV番組に出演した中で、次のように述べた-「今問題になっている(APAホテルの客室本問題)のは民間企業の問題なので、政府が何を言うかはその立場を考えて発言しなければならない。一般論で言うと、日中関係は2000年の長い歴史がある。過去一時期の歴史に過度に焦点を当てるのは、歴史を捉えるのはいかがなものか。全体を捉え未来に向けてどうあるべきか。戦略的互恵関係に基づいて進めていく。これがあるべき姿ではないかとの基本をしっかり訴えていかなければならない。」
そうした一方で、このスキャンダルは更なる展開を見せ、24日、中国の観光担当当局が、APAホテルの客室本問題を「中国人観光客に対する挑発行為だ」と呼び、中国の旅行会社に対し同ホテルの利用をボイコットするよう求めた事が明らかとなった。
さて韓国プサンの日本領事館前の少女像設置問題だが、このイニシアチブに対し、日本政府は極めて厳しい対応を見せた。安倍首相は、ソウル駐在日本大使を一時帰国させ、かなり強硬な幾つかの声明を発表している。
事実上、こうした民間のイニシアチブは、日本とその極東の隣国の間の関係に今回も危機をもたらした。あらゆることから判断して、日本の戦後史のページをめくり、慰安婦問題を終わらせようとする安倍首相の試みは、中国や韓国に対し、ほとんど影響を与えなかったと言える。
ロシアはそもそも、いくつかの理由から、こうした対決状態に無関心ではいられない。プーチン大統領は2014年、中国訪問を前に、中国主要マスコミのインタビューに応じた際、次のように明言している-「実際我々は益々頻繁に、歴史の見直しや歪曲の試みにぶつかっている。4年前ロシアと中国は、第2次世界大戦終結65周年に関連し、共同声明を採択した。我々は、そこから導き出された結論の修正は受け入れられないという点で一致している。(そんなことをしたら)結果は、極めて危険なことになるだろう。」
この共同声明の中でプーチン大統領は、言外に、日本との領土問題も含め、第二次世界大戦の歴史解釈を共に支持すべきだと訴えている。南クリル問題は、御存知の通り、露日平和条約締結の途上における主要な障害と一つである。
「理想では西側は、第二次世界大戦終結後ドイツで生じたように、1991年以後、ロシアのアイデンティティが完全に交代することを望んだろう。その意味でロシアは、ソ連が行った犯罪に対し、今のドイツが現在に至るまでそうしなければならないように、絶えず懺悔すべきだった。ロシアには永久に、歴史的な罪の重荷が残るに違いない。それは、必要とあればどのような時もアクチュアルなものとなるだろう。」
そうしたアプローチは、犠牲者の記憶に対する尊敬の念と共通する部分が少ない。それはアジアにおいても欧州においても同じだ。韓国や中国、そして日本あるいはロシアの民間組織には、歴史に対する自分達の意見や評価を持つ正当な権利がある。彼らは、自分達の民族の歴史的記憶を反映しているのだ。
しかし。戦後和解の必然的方向性に反して、日本や、ロシアに対し、謝罪しろと執拗に求め、それが公式の外交政策の不可欠な要素になってしまうのは、また別の問題である。それは人道主義とは何の共通項もない。それは単に、政治的圧力の手段に過ぎず、その結果は、しばしば両国関係を悪化させてしまうだけだ。
なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。