2001年9月11日の米同時多発テロの恐ろしい悲劇を誰もが覚えている米国には確かに米国憲法の枠内であらゆる反テロ措置を取る権利がある。だがこれに反対する者ら大統領令は「矛盾」した差別的かつ「反イスラム的」だと主張する。
しかし、ここには第3の側面があるのだ。ジャーナリストでイスラエルの日刊紙『Jerusalem Post』で中東政治問題を担当するコメンテーター、セス・フランツマン(Seth Frantzman)氏は、トランプ氏が所属する共和党や、海外からのトランプ氏に対する批判には、多くの「嘘と偽善」があるとし、スプートニクからのインタビューに次のような見解を示している。
「大統領令は緻密に考えられたものだとは思わない。大統領令は、テロに関連して懸念を引き起こす国のリストに依拠して作成されたが、リス自体はオバマ政権時に存在していた古いもので作成者はただ、これら諸国の人々に対する措置を強化しただけだ。」
フランツマン氏はまた、トランプ大統領は自分のスピーチライター、スティーブン・ミラー大統領補佐官が作った大統領令に署名することで、選挙戦中の公約を果たしたと指摘し、さらに次のように語っている。
「トランプ氏は入国禁止令でもシリアを特別に扱い、全てのシリア人と難民の入国をだれと構わず禁止した。他の6国には、トランプ氏は難民と市民に対して90日間のモラトリアム期間を課しただけだ。いずれにせよ、このリストはオバマ政権時に国土安全保障省によって提案されたもので、これら7カ国は『懸念を引き起こす諸国』に指定されていた。」
米国の政治家の偽善はさらに次の点にも集約される。今回、一時的なものであれ米国入国禁止の対象となった国の多くは、米国がテロとの戦いの一環で軍事行動を行った国であることだ。フランツマン氏はこれについて次のように指摘している。
「オバマ政権はシリア難民を受け入れようと試みたが、受け入れられたのは難民全体の約1%にあたる、年間約2万から3万人だ。こうした一方で欧州は50万から80万人の難民に門戸を開いていたのだ。」