昨2016年、米ミズーリー州フルトン市にあるチャーチル博物館の館長はバルチモアにある宇宙望遠鏡科学研究所の天文物理学者にチャーチル氏が第2次大戦間近の1939年に綴った手稿を手渡していた。
この手稿の内容は書かれた当時としては非常本格的なもので、現在、地球外生命を探求する科学者らの見解と十分に一致する。チャーチル氏は地球外で生命が存在する可能性は第1に水があること、生命体が繁殖し枝分かれしていく環境があることだと指摘している。
チャーチル氏がさらに列挙した生命が存在するためのもうひとつの重要なコンセプトは遠い星にある「生命ゾーン」。チャーチル氏は水が液体で存在しうるのは星から一定の範囲内のみと指摘し、生命の探査はまさにこの「生命ゾーン」の内側にある惑星に焦点を絞るべきと書いている。
チャーチル氏は、専門の科学者らがこの問題に取り組む前にすでに太陽系の生命は地球以外には金星、火星に存在しうるほか、また水星のように非常に高温になる天体や、火星の軌道の外のように非常な低温になる圏内では無理だと具体的に示していた。チャーチル氏はまた月、金星、火星への宇宙旅行も可能だと考える一方で、惑星間の飛行は通信システムの大きな支障が出るためかなり困難なものになるだろうとの見方を持っていた。
チャーチル氏は銀河には二重の星が何百万個も形成されていること自体、これと同じだけの多数の惑星システムがあることを示すとして、これに注目している。チャーチル氏はこれらの惑星の一部が「生命ゾーン」にあり、その表面に原子的な生命の形が生まれるための正しい条件がそろうと考えていた。このことからチャーチル氏は地球外生命の存在に真剣に取り組み始めた第1人者に数えられるといえる。その一方でチャーチル氏は、われわれがこの目でそれを見るときは果たしてくるのだろうか、とも綴っている。
チャーチル氏の手稿の最後に綴られている文章は次のようなものだ。
「何十億という星のある銀河が何十万と存在することを考えると、宇宙には生命誕生に適した条件の揃う惑星が数え切れないほど多く存在する可能性もとてつもなく大きいものとなる。私は、自分たちが宇宙の進化の頂点に立つ存在であり、地球上だけに知能を持った生命体が存在すると信じこむことはできない。」