本蔵所長「これまでなかなか双方向とも旅行者数が伸びず、もどかしい思いがありました。しかしようやくビザ要件も緩和され、政治的な条件も整い、『今やらずに、いつやるのか』という気持ちです。これまで日本への旅行はビザ発給要件の問題から旅行会社を通して行く富裕層がメインでしたが、今年1月の要件緩和によって個人旅行が可能になりました。これからは、旅行会社経由に加え、一般の方をターゲットにし、旅行先としての日本をアピールして認知度を高めていきたいと思います。」
実際のところ、訪日旅行はどの程度伸びしろがあるのか、ロシアの旅行関係者に話を聞いた。オリエンタルディスカバリーグループCEOのタチアナ・ハリナさんは「日本は非常に独自の文化をもった国で、アジアの他のどの国にも全く似ていないと思います。我々にとって、今年からビザ要件が緩和されたことは一部の顧客を失うことでもありますが、新たな開拓のチャンスでもあります。今のところ日本に先駆けているのは韓国です。韓国は以前からモスクワに観光事務所を置いて大きな成功を収めています。JNTOモスクワ事務所には、何かあった時にすぐ声をかけられるような存在でいてほしいし、どのように機能していくのか期待しています」と話した。
日本へのツアー旅行を販売している「カールソン・ツーリズム」のリヂヤ・スラドコワさんに日本で一番おすすめの観光スポットを聞いてみたところ、白川郷と飛騨高山の町並みだという。スラドコワさん自身が日本の大ファンで、熱の入ったスラドコワさんのセールストークによって日本行きを決断する客が多い。彼女と話していると、日本人の筆者も思わず白川郷に行ってみたくなったほどだ。ネット時代だが、まだまだロシアでは口コミや対面販売も根強い力をもっている。スラドコワさんのような日本への愛に溢れた人が旅行パックを販売すれば、説得力が違うし、リピーターが増えるのも納得だ。
今年1月1日からロシア人旅行者の日本ビザ発給要件が緩和されたことを受け、1月のビザ申請数は56パーセントも増加。わずか一ヶ月でこれだけの伸び率ならば、情報の周知とともに、今後も旅行者は増えていくだろう。また、ロシア連邦観光局のオレグ・サフォノフ局長によると、ロシアも日本に観光事務所を設置する計画があるという。開設は今年の末か来年の頭を予定している。